【ECサイトのSEO対策】URLの正規化を理解し、検索エンジンに正しい情報を送る
- 2025.06.16
- EC

ECサイトを運用する中で「コンテンツを作り込んでいるのに、なぜか検索順位が上がらない......」と悩みを抱えている担当者も多いでしょう。ECサイトの検索順位が上がらない場合、URLの正規化ができていないことが一つの要因かもしれません。
httpとhttpsの違いやindex.htmlの有無、パラメータつきURLなど意外と見落としがちなポイントがSEO評価を低下させてしまっているケースがあります。
ECサイトのSEO対策の全10回連載の第5回目となる本記事では、検索エンジンに正しく評価してもらうためのURL正規化の重要性と具体的な対応方法をわかりやすく解説します。
URLの正規化とは
URLの正規化とは、同一のコンテンツが複数のURLでアクセス可能な場合に検索エンジンに対して「どのURLを正しいURLとみなすか」を明確に伝える施策です。URL正規化はSEOの基盤ともいえる重要な要素で、URLの転送設置であるリダイレクトや正しいURLを指し示す指令であるcanonical(カノニカル)タグを活用したURLの統一が一般的な手法です。
URLの正規化を実施すれば、1つのコンテンツに複数のURLが設定されている場合でも検索エンジンが「同一のコンテンツ」として認識します。そのため、クロール効率が向上してページ単位の評価価値が相対的に向上し、ドメインパワーが分散せずSEO評価が統一される点がメリットです。
たとえば、「example.com」と「www.example.com」「example.com/index.html」が同じコンテンツを指している場合、正規化を行うと検索エンジンはこれらを1つのURLとしてインデックスします。
URLの正規化をしない場合のリスク
URLの正規化を行わない場合は同一のコンテンツが異なるURLで存在するため、検索エンジンは各コンテンツを別のページとして認識します。そのため、重複コンテンツが存在するとみなされてSEO評価が分散されるリスクが生じる点がデメリットです。
特に、被リンク(別ページにリンクが設置されること)が異なるURLに向けられるとリンクの効果が分散し、ページの評価が低下する可能性があります。また、検索エンジンのクローラーが重複するページを巡回するため、クロールの効率が低下して重要なページのインデックスが遅れる懸念もあります。
URLの正規化が必要な状況
URLの正規化が必要な場合は、主に以下の4つの状況が挙げられます。
- 1つのページにhttps,httpの両方でアクセスができる
- index.htmlが有る場合と無い場合の両方で1つのページにアクセスできる
- 表示デバイスにおいてURLが異なる
- 計測などでパラメータが付与されている
適切なURLの正規化を行い、検索エンジンに対して評価してもらいたいURLを明確に伝え、SEO効果を最大限に引き出しましょう。
1.https,httpの正規化
同一のコンテンツが「https://example.com」と「http://example.com」の両方でアクセス可能な場合、検索エンジンはこれらを別々のページとして認識します。上記のような状況では、SEO評価が分散されるだけでなくユーザーのセキュリティにも影響を及ぼす可能性があります。
特に、SSL化されていないhttpのページでは通信が暗号化されておらず、第三者による情報の盗聴や改ざんのリスクが高いです。そのため、基本的にはhttpsを正規URLとして登録し、httpからhttpsへのリダイレクトを設定しましょう。
2.index.htmlの有無の正規化
ディレクトリ直下のページにおいて、「https://example.com/」と「https://example.com/index.html」の両方でアクセス可能な場合、検索エンジンはこれらを別々のページとして認識します。上記のような状況では同一のコンテンツが複数のURLで存在するため、SEO評価が分散されるリスクが生じます。
また、被リンクが異なるURLに向けられれば、リンクの効果が分散してページの評価が低下する可能性があります。一般的には、index.htmlを含まないURLを正規URLとして設定し、index.htmlを含むURLからのリダイレクトを行ってURLの統一を図ります。
3.表示デバイスにおいてURLが異なる場合の正規化
スマートフォンやタブレットなど、表示デバイスに応じて異なるURLを使用している場合、同一のコンテンツが複数のURLで存在すると認識されます。
PC版が「https://example.com」で表示され、スマートフォン版を「https://m.example.com」や「https://example.com/sp/」で用意していると、検索エンジンは各URLを別のページとして認識するため、重複コンテンツとみなされる可能性があります。結果として、SEO評価が分散されて検索順位の低下やインデックスの問題が生じる恐れが高いです。上記のリスクを回避するためには、以下2つの作業を通してPC版とモバイル版のページ間で適切な正規化を行う必要があります。
- モバイル版のページにcanonicalタグを使用してPC版のURLを指定
- PC版のページにはalternateタグを使用してモバイル版のURLを指定
また、レスポンシブデザインを採用して単一のURLで複数のデバイスに対応できるようにすれば、上記の正規化の手間を省けます。
4.計測などによるパラメータ付与時の正規化
アクセス解析や広告効果の測定などで、URLにパラメータが付与される場合も正規化が必要です。たとえば、「https://example.com/?utm_source=newsletter」や「https://example.com/?ref=twitter」といったURLが該当します。
上記のようなパラメータつきURLは、同一のコンテンツであっても検索エンジンには別のページとして認識される可能性があります。
上記のリスクを回避するためには、パラメータつきURLに対して適切な正規化を行う必要があります。具体的には、canonicalタグを使用してパラメータなしの正規URLを指定する方法が一般的です。
URLの正規化の方法
URLの正規化の方法としては、いくつかの手法がありますが主な対応方法を紹介します。
301リダイレクト
301リダイレクトは、恒久的なURLの変更を検索エンジンに伝える手段です。具体的には、.htaccessファイル内に正規化するURLを設置しておき、リダイレクトを行います。
たとえば、httpとhttpsやindex.htmlの有無など表示が同じであるがURLが統一されていない場合の、Webサイト全体を一括で対応する場合に適切です。具体的には、以下のような記述を.htaccessファイルに追加してリダイレクトを設定できます。
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
上記の設定により、httpでアクセスされた場合でも自動的にhttpsにリダイレクトされ、URLの統一が図られます。また、index.htmlの有無を統一する場合は、以下のような記述を追加しましょう。
RewriteEngine On
RewriteCond %{THE_REQUEST} ^.*/index.html
RewriteRule ^(.*)index.html$ https://example.com/$1 [R=301,L]
上記の記述で「https://example.com/index.html」へのアクセスが「https://example.com/」にリダイレクトされ、URLの正規化が実現されます。
canonicalタグの設置
canonicalタグはページ単位での設置となり、デバイスによる表示の出し分けやパラメータ付与によるURLの分散において設定しておくと効果的です。具体的な対応方法としては、headタグ内に以下のように記載してcanonicalタグを設置します。
<link rel="canonical" href="https://example.com/">
上記のタグを設置すれば、検索エンジンに対して評価してもらいたいURL(ここでは「https://example.com/」)を明確に伝え、重複コンテンツとみなされるリスクを回避できます。特に、スマートフォン表示やタブレット表示などのデバイスに合わせてURLが異なっている場合や計測などによるパラメータ付与時には、canonicalタグの設置が有効です。
まとめ
URLの正規化は同じ内容のページが複数のURLで存在する場合に、検索エンジンに「評価対象とする正規のURL」を明確に伝える重要なSEO施策です。
httpとhttpsのような分散しやすいURLを301リダイレクトやcanonicalタグで統一すれば、評価の分散や重複コンテンツを防いで検索順位の向上とユーザー体験の最適化につながります。
URLの正規化を適切に行い、検索エンジンに対して正しい情報を伝えて自社ECサイトのSEO評価を向上させましょう。