【ECサイトのSEO対策】Webサイトの表示速度はSEOにおける重要な要素!遅延はユーザーの離脱に直結
- 2025.06.23
- EC

ECサイトを長く運営していると、「最近、Webサイトの表示が遅い......」といった悩みを抱えている担当者も多いのではないでしょうか。ページの表示速度は、ユーザーの離脱率や検索順位に大きな影響を与える重要な指標です。ページの表示速度を改善できれば、SEOにもUXにもプラスに働いてコンバージョン率の向上にもつながります。
ECサイトのSEO対策の全10回連載の第6回目となる本記事では、ページの表示速度低下の原因や具体的な改善方法、便利な診断ツールまでをわかりやすく解説します。自社ECサイトのページ表示速度を改善し、ユーザーの離脱率を下げましょう。
Webサイトの表示速度がSEOに重要となる2つの理由
Webサイトの表示速度がSEOに重要となる理由は、主に以下の2つです。
- 表示速度が遅いとユーザーの離脱率が高まる
- 検索エンジンの評価が下がる可能性がある
ユーザー体験の向上や検索順位の維持・向上を図るためにも、表示速度の最適化は欠かせません。
1.表示速度が遅いとユーザーの離脱率が高まる
Webサイトにアクセスした際、ページの表示が遅延するとユーザーは待ちきれずに離脱する傾向があります。特に、モバイルユーザーは表示速度に敏感で数秒の遅延でも大きなストレスを感じるケースが多いです。実際に、Googleの調査によれば、ページの読み込み時間の長さによって以下のように直帰率が上昇すると報告されています。
- 1秒から3秒に増加すると直帰率は32%増加
- 1秒から6秒に増加すると直帰率は約2倍増加
表示速度の遅延はユーザーの離脱を招き、結果としてコンバージョン率の低下などにつながります。そのため、ページ表示速度の最適化はユーザーの満足度を高めてWebサイトの成果を向上させるために重要です。
参考:Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed|Google
2.検索エンジンの評価が下がる可能性がある
Googleはユーザー体験の向上を最優先事項としており、ページの表示速度を検索順位の評価基準の1つとしています。特に、モバイル検索においてはページの読み込み速度がランキング要素として使用されており、表示速度の遅延は検索順位の低下につながります。
表示速度が遅いとユーザーの行動を妨げる要因とみなされ、検索エンジンに満足度の低いコンテンツと判断される一因になることもあります。
Webサイト速度低下の原因と改善方法
ここでは、Webサイト速度低下の主な原因と改善方法について以下の5つを詳しく解説します。
- 画像サイズの最適化
- 利用フォントの検討
- 不要ファイルの削除やファイル軽量化
- キャッシュの適切な利用
- CDNツールの導入
Webサイト速度低下の原因を把握し、表示速度を改善してECサイトのSEO評価を高めましょう。
画像サイズの最適化
Webサイトの表示速度を低下させる主な要因の1つが、画像のファイルサイズです。高解像度や未圧縮の画像を使用するとページの読み込み時間が延び、ユーザーの離脱をまねくおそれがあります。
特に、サムネイルやアイコンなど小さな表示領域に対して大きな画像を使用すると、無駄なデータ転送が発生します。画像サイズを最適化する方法は、主に以下のとおりです。
- 表示サイズに合わせて画像の解像度を調整し、不要なピクセルを削減
- JPEGやPNG形式の画像は圧縮ツールを使用して品質を保ちながらファイルサイズを削減
- 従来の形式よりも高い圧縮率を実現して表示速度の向上に寄与するWebPやAVIFなどの新しい画像フォーマットを利用する
利用フォントの検討
Webフォントの使用はデザインの自由度を高める一方で、ページの表示速度に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、日本語のWebフォントはファイルサイズが大きく、読み込みに時間がかかるケースが多いです。フォントの最適化には、以下のような方法があります。
- 必要最小限のWebフォントを使用し、読み込みの負荷を軽減
- 使用する文字のみを含むフォントファイルを作成し、不要なデータを削除
- <link rel="preload">タグを使用してフォントの先読みを行い、表示速度を向上させる
不要ファイルの削除やファイル軽量化
WebページにはCSSやJavaScriptなどの外部ファイルが多く含まれており、ページの読み込み速度に影響を与えるケースがあります。特に、使用されていないコードや不要なプラグインが含まれていると無駄なリソースの読み込みが発生します。ページの表示速度が遅い場合は、以下の方法で不要ファイルの削除やファイル軽量化を図りましょう。
- 使用されていないCSSやJavaScriptファイル、プラグインを削除して読み込みの負荷を軽減
- HTML、CSS、JavaScriptのコードを、圧縮ツールを使用してファイルサイズを削減
- JavaScriptファイルを非同期で読み込んでページのレンダリング(表示生成)を妨げないようにする
キャッシュの適切な利用
Webサイトの表示速度を向上させるためには、ブラウザキャッシュの適切な活用が非常に重要です。ブラウザキャッシュとは、ユーザーが一度訪れたWebサイトのデータをブラウザに一時的に保存し、再訪問時に再ダウンロードせずに表示する仕組みです。
ブラウザキャッシュの活用により、再訪問時のページ読み込み速度が大幅に短縮され、ユーザー体験の向上につながります。特に、画像やJavaScriptなどの大容量ファイルを多用しているページではキャッシュの効果が顕著です。また、通信量の節約にも寄与するため、モバイルユーザーにとってもメリットがあります。
ただし、キャッシュの設定が不適切だと古い情報が表示される可能性があります。そのため、有効期限や更新頻度を適切に設定し、必要に応じて不要なキャッシュをクリアしなければなりません。具体的には、.htaccessファイルでのキャッシュポリシーの設定やHTTPヘッダーでの制御が効果的です。
CDNツールの導入
CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)は、Webサイトの表示速度を向上させるためのツールです。CDNは世界中に分散されたキャッシュサーバーを利用し、ユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを配信する仕組みです。
CDNの活用により、サーバーへのアクセスが分散されてオリジンサーバーの負荷が軽減されます。結果として、アクセス集中時のサーバーダウンのリスクが低減し、高速かつ安定したコンテンツ配信が可能です。また、CDNを導入するとオリジンサーバーのスペックを抑えられるため、運用コストの削減にもつながります。
ただし、個人情報を含むページなど公開してはいけないコンテンツを誤ってキャッシュしてしまうと情報漏洩のリスクが高まります。そのため、CDNを導入する際はキャッシュ対象のコンテンツを適切に選定し、設定を慎重に行いましょう。
Webサイトの表示速度を計測するためのツール
ここでは、Googleが提供する代表的な2つの計測ツールをご紹介します。
- PageSpeed Insights
- Lighthouse
上記のツールを利用してWebサイトの表示速度を計測し、遅ければ今まで紹介した対処法を実践しましょう。
PageSpeed Insights
PageSpeed Insightsは、Googleが提供する無料のWebページ診断ツールです。調査したいURLを入力するだけでデスクトップとモバイルの両方における表示速度を分析し、結果を分かりやすく提示してくれます。PageSpeed Insightsでは、具体的に以下のような主な指標を確認できます。
- First Contentful Paint(FCP):最初のコンテンツが表示されるまでの時間
- Largest Contentful Paint(LCP):最大のコンテンツが表示されるまでの時間
- Cumulative Layout Shift(CLS):レイアウトのずれの度合い
- Speed Index:ページが視覚的に読み込まれる速度
- Time to Interactive(TTI):ページが完全に操作可能になるまでの時間
上記の指標は、ユーザーがページをどれだけ快適に閲覧できるかを示す重要な要素です。PageSpeed Insightsは各スコアに基づいて具体的な改善提案も提供してくれるため、Webサイトのパフォーマンス向上に役立ちます。
Lighthouse
LighthouseはGoogleが提供するオープンソースの自動化ツールで、Webページの品質を総合的に評価します。LighthouseはChromeのデベロッパーツールやコマンドライン、拡張機能などを通じて利用が可能です。Lighthouseでは、以下の5つのカテゴリでWebページの評価が行われます。
- Performance:ページの読み込み速度や応答性
- Accessibility:障害をもつユーザーへの対応状況
- Best Practices:Web開発の標準的な手法の遵守状況
- SEO:検索エンジン最適化の観点からの評価
- Progressive Web App(PWA):プログレッシブウェブアプリとしての適性
特に「Performance」カテゴリではPageSpeed Insightsと同様の指標が用いられ、詳細な分析が可能です。また、Lighthouseは開発者がWebページの改善点を特定し、ユーザー体験を向上させるための具体的なアドバイスも提供してくれます。
表示速度を改善してSEO的にもUX的にも改善を目指しましょう
Webサイトの表示速度の改善は、SEOだけでなくUX(ユーザー体験)の向上にも直結します。読み込むファイルの軽量化や必要最低限のファイル取得を行えば、無駄なリソース消費を抑えてWebサイトの表示速度を向上できるでしょう。また、PageSpeed InsightsやLighthouseといったツールを活用すれば、具体的な改善ポイントを把握しやすくなります。
さらに、CDNツールとの連携によりサーバー負荷を軽減し、高速なWebサイト表示の実現も可能です。
ECサイトの支援ツールである「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」ではCDNツールとの外部連携が可能で、表示速度向上を意識したECサイト運営を支援しています。連携が可能なCDNについては「外部サービス連携」ページをご確認ください。
ECサイトの表示速度改善を図りたい場合は、ぜひ「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」をご検討ください。