新規顧客もリピーターも逃さない!EC売上アップにつながる改善施策とは?
- 2025.10.29
- EC
「ECサイトの売上を伸ばしたいのに、新規顧客が思うように増えない」「せっかく購入してくれたお客様が、一度きりで再度購入してくれない」こうした悩みを抱えるECサイト担当者は少なくありません。原因の一つは、新規顧客獲得とリピート施策がうまく連動していないことかもしれません。
本記事では、ECの新規顧客獲得やリピート率の向上に向けた具体的な施策から顧客との関係を深めるためのコツまでを解説します。本記事を読めば、自社のECサイトに効果的な取り組みのヒントになるはずです。新規とリピートの好循環を生み出し、EC事業の売上拡大につなげましょう。
ECサイトの新規顧客獲得に必要なのは認知拡大
ECサイトで新規顧客を獲得するためには、まず自社のサイトの存在をより多くの人に知ってもらう必要があります。どれほど魅力的な商品を取りそろえていても、存在が知られていなければ購入にはつながりません。ここではECサイトの認知を拡大し、新規顧客獲得へつなげるための代表的な4つの施策について特徴とポイントを解説します。
Web広告施策
Web広告は、リーチしたいユーザー層に迅速かつ直接的にアプローチできる、新規顧客獲得に即効性のある施策です。代表的なWeb広告には、「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」があります。
- リスティング広告
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に表示される広告。商品を探している購買意欲の高いユーザーに直接アプローチできる。 - ディスプレイ広告
Webサイトやアプリの広告枠に表示される画像・動画形式の広告。ユーザーの興味関心や閲覧履歴に基づいて広告を表示できるため、自社の商品ジャンルに興味をもちそうな潜在層に広くアプローチできる。
上記の広告を組み合わせることで、顕在層と潜在層の両方に効率よくアプローチしてECサイトへの入り口を大きく広げられます。
SNS施策
SNS施策も、新規顧客獲得および認知拡大に欠かせません。今や多くの人が日常的に利用するSNSは、ECサイトにとっても重要なサービスです。企業が一方的に発信する広告とは異なり、ユーザーの日常的な行動の中に自然な形でアプローチできるのが特徴です。SNSを活用した施策は、主に「SNS広告」と「情報発信」の2つに分けられます。
- SNS広告
InstagramやX、FacebookなどのSNSで配信する広告。年齢・性別・地域・興味関心などの詳細なターゲティングが可能で、自社商品のターゲット層にピンポイントで情報を届けられる。例えば「20代女性で、ファッションに興味がある人」だけに広告を見せるなどのアプローチが可能。 - 情報発信
自社の公式アカウントで、商品の魅力やブランドの世界観を継続的に発信。ユーザーとのコミュニケーションを通じてファンを育成し、コメント・シェアによる自然なUGCの発生も期待できる。
いずれの施策においても、投稿からECサイトへスムーズに移動できる導線を設置するのが重要です。
インフルエンサー施策
インフルエンサー施策は、特定分野で大きな影響力を持つインフルエンサーに自社商品を紹介してもらうマーケティング手法です。消費者に近い立場であるインフルエンサーのリアルな声として情報が届くため、ユーザーの共感を得やすく高い訴求力が期待できます。
施策を成功させるには、自社のブランドイメージやユーザー層と親和性の高いインフルエンサーの起用が重要です。
例えば、ナチュラル系のコスメを扱うECサイトを運営していたとしましょう。この場合、ライフスタイル系の情報を発信するインフルエンサーに紹介してもらうと、そのファン層へ効果的にアプローチできます。
ファンにとってのインフルエンサーは、憧れや信頼できる友人のような存在です。「あの人が使っているなら試してみたい」などの感情に働きかけ、ユーザーの購買意欲を強く刺激してECサイトの新規顧客獲得に大きく貢献します。
SEO施策
SEO(検索エンジン最適化)施策は、中長期的な視点でECサイトの資産を築く重要な新規顧客獲得施策です。広告とは異なり、一度検索結果の上位に表示されれば、ランニングコストを抑えながら継続的に自社サイトへの集客が見込めます。
具体的には、ユーザーが検索しそうなキーワードを予測し、ユーザーの求める情報を提供する質の高いコラム記事や商品紹介ページを作成しましょう。こうしたコンテンツが検索エンジンに評価され、上位表示されると商品に関心のあるユーザーを自然な形でECサイトへ呼び込めます。
また、近年注目されているAI検索でも、Web上のコンテンツが回答の参考にされます。ユーザーの悩みや疑問へ真摯に答える質の高い記事を用意することで、将来的な検索行動の変化にも対応できます。
ECサイトの新規顧客を獲得するためのポイント
以下では、新規顧客獲得の成功率をさらに高めるための3つの重要なポイントを解説します。
【ポイント①】商品・サービスの認知度や特性に応じた施策を選定する
新規顧客獲得を成功させるための第一歩は、自社の商品やターゲット層に最適な施策を選ぶことです。なぜなら、各マーケティングチャネルの特徴があり、ユーザー層も異なるからです。
例えば、30代の女性向けのアパレルブランドをECサイトで販売していたとしましょう。この場合ビジュアルで魅力を伝えやすいInstagramでのインフルエンサー施策やSNS広告が効果的です。
まずは「誰に・何を届けたいのか」を明確にし、ユーゲーが多く利用している場所で最も響く方法を使い、アプローチしましょう。
【ポイント②】複数の流入経路を持つようにする
安定した新規顧客獲得を実現するためには、複数の流入経路を確保しましょう。ECサイトの運営において、1つの流入経路だけに依存するのは非常にリスクが高いです。
例えば、集客のほとんどをSEOだけに頼っていた場合を考えましょう。検索エンジンの大規模なアルゴリズムのアップデートによって、ある日突然アクセスが激減してしまうかもしれません。
理想的なのは、短期的な集客が見込めるWeb広告と中長期的な資産となるSEO施策・SNS投稿を組み合わせた運用です。広告で新規顧客を獲得しながらSEOコンテンツを充実させれば、どちらかのアクセスが減ったとしても互いにカバーできます。
このように複数の流入経路を確保すると、一部で問題が発生しても、他のチャネルが補ってくれるため、集客の安定につながります。また、さまざまなチャネルからアクセスを集められ、リーチできていなかった幅広い層の顧客を獲得するチャンスも広がるでしょう。
【ポイント③】新規顧客のコンバージョン率もチェックする
新規顧客のコンバージョン率(CVR)もチェックしましょう。どれだけ多くの新規ユーザーを集めても購入につながらなければ売上は伸びず、集客コストが膨らみ利益を圧迫してしまいます。
そのため、「どの流入経路から来たユーザーが、最も購入にいたっているのか」を分析することが必要です。例えば、「SNS広告経由の訪問者は多いがCVRは低い」「SEO経由の訪問者は少ないがCVRは高い」などのデータが見えてくるはずです。
特定のチャネルからのCVRが低い場合、サイト内の導線に問題があるのかもしれません。「購入までのステップが複雑すぎないか」などユーザー目線で見直し、改善を重ねていく必要があります。
ECサイトのリピート率の向上は顧客との接点増加がカギ
ECサイトの成長を加速させるためには、新規顧客獲得と並行してリピート顧客を育てていくことが重要です。そして、リピート率の向上に重要なのが購入後に顧客との接点を増やし、良好な関係を築いていくことです。以下では、顧客とのつながりを深め、効果的にリピートを促す4つの施策を紹介します。
LINEやアプリによる接点
顧客に直接アプローチできるLINE公式アカウントや自社アプリは、顧客との距離を縮められる有効なツールです。Webサイトやメールとは異なり、顧客の日常的な行動の中で、能動的に情報を届けられる点が大きな強みといえます。
効果的なのは、初回購入後のサンクスメールで「LINE友だち追加で次回使える500円OFFクーポン」などを提示して登録を促す方法です。一度友だちになれば、新商品やセール情報をプッシュ通知でタイムリーに知らせられます。
さらに、購入履歴データを連携させれば、「先月購入いただいた化粧水が無くなるころではないでしょうか?」などの案内も可能です。自分ごととして感じられるアプローチは顧客の満足度を高め、次の購買へとつなげる効果的なECリピート施策です。
メールマガジンの活用
LINEやアプリが主流となる中でも、メールマガジンは依然として有効なECにおけるリピート施策の1つです。特に、ブランドのストーリーや商品のこだわりなどの少し長めの情報をじっくりと伝えたい場合には効果的です。
メールマガジンの利点は、購入金額や購入頻度などの条件で顧客をセグメントし、それぞれに最適化された情報を一斉に配信できる点です。例えば、「過去にAという商品カテゴリを購入した顧客」だけに、関連商品のセール情報を送るなどの活用ができます。
また、全顧客向けに配信するメルマガの新着情報やおすすめ情報などによって、普段は特定の商品しか購入しない顧客が、メルマガで紹介されていた関連商品に興味をもち、新たなファンになってくれるかもしれません。
同梱物の工夫
同梱物の工夫も、ECでのリピートを促す効果的な施策です。顧客が商品を受け取り、箱を開ける瞬間はブランドへの期待感が最も高まるシーンといえます。
最もシンプルで実践しやすいのは、手書きメッセージを添えたサンクスカードや、次回使えるクーポンコードの同封です。温かみのあるメッセージは顧客満足度を高め、クーポンは次回の購入を直接的に後押しします。
さらに効果的なのが、新商品や今後注力したい商品のサンプルを同梱する方法です。例えば、「シャンプーを購入した顧客に同シリーズのトリートメントのサンプルを提供する」などです。顧客はリスクなく新しい商品を試せるため、「使ってみて良かったから購入しよう」という自然な購入動機を生み出せます。
キャンペーン施策の実施
季節ごとのセールや期間限定のキャンペーンは、一度ECサイトを離れてしまった顧客を呼び戻し、再購入を促す起爆剤となります。例えば「リピーター様限定 送料無料キャンペーン」などを実施すれば、顧客は特別なサービスを受けていると感じ、ブランドへのロイヤリティが高まります。
また、魅力的なキャンペーンは既存顧客だけでなく新規顧客に響く点でも魅力的です。SNSでキャンペーン情報がシェアされれば新たな認知拡大につながり、結果として新規顧客の獲得にも貢献します。
ECサイトのリピート率向上のためのポイント

以下では、ECサイトのリピート率をもう一段階引き上げるために押さえておきたい2つのポイントを解説します。
顧客分析を行う
効果的なECのリピート施策を実行するためには、顧客分析を行う必要があります。顧客分析を行わなければ、実施するリピート施策が、単なる思いつきで仮説がないものになってしまうためです。顧客分析によって下記のような事実をデータで把握できると、施策の精度は格段に向上します。
- どのような経路でサイトに訪れた顧客がリピートしやすいのか
- 2回目の購入までの期間は平均でどのくらいか
- Aという商品を買った顧客は次に何を買う傾向があるか
例えば、分析の結果、「初回購入から平均45日で再購入する顧客が多い」とわかったとしましょう。この場合「45日にさしかかる少し前のタイミングでクーポン付きのメールを送る」など効果的なアクションを立案できます。
まずはGoogleアナリティクスやECカートシステムの顧客データを活用し、優良顧客の行動パターンを分析できる体制を整えましょう。
購入・成約後のフォローを適切に行う
ECサイトのリピート率を向上させるためには、購入・成約後のフォローを適切に行いましょう。顧客がリピーターになるかどうかは、最初の購入体験で「またここで買いたい」と思ってもらえるかが非常に重要です。
購入体験での印象を決定づけるのが、購入後のフォローアップです。丁寧なフォローは顧客の不安を取り除き、商品やブランドへの信頼につながります。「自分のことを気にかけてくれる、信頼できるお店」だと感じてもらうことが、次回の購入を促すポイントです。
例えば、以下のような対応が、顧客の満足度や顧客体験を大きく向上させます。
- 商品発送後のサンクスメールに加えて、数日後には「商品はお手元に届きましたでしょうか?ご不明な点はございませんか?」などの気遣いのメールを送る
- 少し複雑な商品であれば、使い方のコツや活用方法をまとめたコンテンツを案内する
まとめ
本記事では、ECサイトを成長させる新規顧客獲得とリピート施策について、具体的な手法から成功のためのポイントまでを解説。Web広告やSEO、顧客との関係を深めるLINE活用や同梱物の工夫など多岐にわたる施策を紹介しました。
数ある施策の中から自社に最適な一手を見つけて成功率を高めるためは、自社の商品を本当に届けたい顧客像の明確化が重要です。顧客像が鮮明であれば「どのチャネルでアプローチすべきか」の判断が的確になり、施策の効果を最大化できます。
さらに顧客像をより深く理解するためには、サイトのアクセス履歴のようなオンライン上の行動データだけでは不十分です。
オンライン上の行動データと、店舗での購入情報などオフラインのデータを融合させて分析する視点が重要になります。このようなオンライン・オフラインでのデータ分析に有用なのが「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」です。
EC事業のバックオフィス業務を総合的にサポートするツールですが、ECサイトだけでなく店舗での購入データも一緒に参照・分析できます。オンライン・オフラインの購買データを分析できるため、より精度の高い新規顧客獲得・リピート施策の実施が可能です。
データ分析を効率化し、ECサイトでの売上を効率的に伸ばしたい企業のご担当者様はぜひ一度「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」をご検討ください。