SaaSで業務効率アップ!現場担当者が知っておきたい導入メリットと成功事例
- 2025.11.26
- EC
「日々の繰り返し業務をもっと効率的に進めたい」と、多くの現場担当者が感じているのではないでしょうか。このような悩みを解決する手段として、近年多くの企業が導入しているSaaS(Software as a Service)が注目されています。
とはいえ、「専門的で難しそう」「うちのチームで本当に使いこなせるだろうか」などの不安から、導入に踏み切れない企業も多いはずです。
本記事では、SaaSの具体的なメリットや導入事例、導入を成功させるポイントを現場担当者向けにわかりやすく解説します。本記事を読めば、SaaSの活用イメージが明確になり、自社の業務効率化に向けた第一歩を踏み出せるでしょう。
SaaSとは?現場での活用方法
SaaSは「Software as a Service」の略で、「サービスとして提供されるソフトウェア」を意味します。一言で言うと、インターネットを経由して利用できるソフトウェアのことです。
従来のソフトウェアは、パッケージを購入して自分のパソコンにインストールする「買い切り型」が主流でした。対して、SaaSは月額料金などを支払って、必要な期間だけ利用する「サブスクリプション型」のサービスです。
SaaSは、買い切り型ソフトウェアのように面倒なインストール作業は不要です。パソコンとインターネット環境があれば、IDとパスワードでログインするだけで、いつでもどこでも必要な機能を利用できます。
PaaSやIaaSとの違い
SaaSについて調べていると、PaaSやIaaSなどの似た言葉を目にすることがあります。これらはいずれもクラウドサービスの一種ですが、提供される範囲と利用者側の自由度には明確な違いがあります。SaaS・PaaS・IaaSのサービス内容は、以下のとおりです。
- SaaS(Software as a Service)
サービス提供者が管理する完成されたソフトウェアを、インターネット経由で利用できる形態です。利用者はソフトウェアのインストールやアップデート管理を行う必要がなく、契約後すぐに機能を使い始められます。GmailやSlack、Zoomなどが代表的なSaaSの事例です。 - PaaS(Platform as a Service)
アプリを開発し、実行するためのプラットフォームを提供するサービスです。サーバー、OS、データベースなどの環境があらかじめ用意されており、開発者が独自のアプリを構築・運用するために利用します。 - IaaS(Infrastructure as a Service)
サーバーやストレージ、ネットワークなどのITインフラそのものを仮想的に提供するサービスです。利用者はOSの選定やインストールから行い、システム環境を最も自由に設計・構築できます。主に専門知識をもつインフラエンジニアが利用します。
このように、PaaSやIaaSは主に開発部門やIT部門がシステムを構築するために利用する専門的なサービスです。
一方、業務効率化を目指す現場担当者が注目すべきは、すぐに使える完成品のソフトウェアであるSaaSです。
SaaSを導入することによるメリット

以下では、SaaSを導入して得られる具体的なメリットをわかりやすく解説します。
アップデートが自動で反映されるため保守・運用の手間が減る
SaaSを導入する大きなメリットの1つに、保守・運用の手間から解放される点があります。機能の追加やセキュリティ強化などのソフトウェアのアップデートは、全てサービス提供者が自動で行ってくれるため、利用者は管理作業を行う必要がありません。
従来のインストール型ソフトでは、新しいバージョンのセキュリティパッチが出るたびに利用者側が更新・管理する必要がありました。しかし、SaaSは利用者が何もしなくても最新環境を維持できます。これにより、担当者の心理的負担を大きく軽減し、本来注力すべきコア業務に集中できる環境を実現します。
UI・UXに優れているものが多くIT部門に頼らずに利用ができる
UI・UXに優れているものが多く、IT部門に頼らず利用できる点もSaaSのメリットです。SaaSは複雑な設定や専門部署への依頼は不要で、多くの場合はWebサイトから数ステップで契約して申し込み当日に利用を開始できます。
多くのSaaSは洗練されたデザインと高い操作性を備えており、マニュアルを読み込まなくても、実際に操作をするうちに自然に覚えられます。
そのため、現場の判断でスピーディーに導入・活用できる手軽さは、ビジネス環境の変化に対応する上で大きな魅力です。
場所を問わず利用ができる
SaaSはインターネットに接続できる環境さえあれば、いつでもどこでも同じように利用できる点がメリットです。SaaSの場合、ソフトウェアは個々のパソコンではなくクラウド上にあります。
そのため、会社のデスクや自宅、出張先のホテルなどからでも、IDとパスワードを使ってログインができれば、ソフトウェアの利用が可能になります。特に、リモートワークや複数の拠点をもつ企業では、SaaSのメリットを大きく活かせます。
コストを抑えやすい
SaaSは高額な初期投資を必要とせず、コストを抑えながら高機能なツールを利用できる金銭的なメリットもあります。自社でシステムを開発する場合、数百万円以上の開発費やサーバー費用がかかるケースも珍しくありません。
一方、SaaSの料金体系は「月額〇円」「年額〇円」などの月額・年額制が主流です。利用する人数や必要な機能に応じてプランを選べるため、事業の規模に合わせて効率的に投資できます。最初は小規模なプランで始め、ビジネスの成長に合わせてアップグレードしていくなどの柔軟な運用が可能です。
SaaSを導入するためのポイント

以下では、SaaS導入をスムーズに進めるために役立つ3つのポイントを解説します。
① 導入ハードルを下げるための方法
新しいツールの導入で、現場から「今の業務のやり方を大きく変えなければいけないのでは?」などの不安の声が上がるのは、当然のことです。このような心理的なハードルを下げて行くことが、SaaSの導入を成功させる鍵となります。
SaaSの導入の心理的なハードルを下げる効果的な方法の1つが、導入前に無料トライアルやデモ画面を利用し、実際にチームで使用してもらうことです。実際に使用することで「現在の業務フローとどこが違うのか」などを具体的にイメージでき、漠然とした不安を解消できます。
また、初期設定が複雑でないツールを選ぶのも、心理的な負担を軽減する上で重要です。現場の担当者自身が設定を完了できるSaaSであれば、「自分たちでも使いこなせる」などの自信につながり前向きに活用できます。
② マニュアルなど社内展開のコツ
無事にSaaSを導入した後は、「いかにして社内に定着させ、全員に活用してもらうか」のフェーズに移ります。ここでの丁寧なサポートが、ツールの価値を高めます。
最近のSaaSは直感的な操作が可能なものが多いため、必ずしも大冊のマニュアルは必要ないかもしれません。しかし、簡単な操作手順をまとめた資料やツールの提供元が用意しているヘルプページのリンクを共有しておくだけでも、利用者の安心感は大きく変わります。
さらに効果的なのは、社内のチャットツールに専用の相談窓口を設けることです。「このようなときどうするの?」と疑問を気軽に投稿でき、知っている人がすぐに答えられる環境を用意しましょう。問題が放置されることなく、組織全体の活用ノウハウが自然と蓄積されていきます。
③ IT部門との連携のポイント
現場主導でSaaSを導入する場合でも、自社のIT部門との連携は不可欠です。特に、セキュリティ基準の確認と既存システムとのデータ連携については、必ず事前に相談しておきましょう。
IT部門は、会社全体の情報を守る重要な役割を担っています。導入を検討しているSaaSが自社のセキュリティポリシーを満たしているかを確認してもらうことで、情報漏洩などのリスクを未然に防げます。
また、導入後の運用ルールをあらかじめ決めておくのも重要です。たとえば、以下のようにサポートの役割分担を明確にしておけば、導入後の混乱を避けてスムーズな運用を実現できます。
- ツールの操作に関する問い合わせは現場の担当窓口へ
- 技術的な問題が発生した際はIT部門へ
SaaS型の基幹システムOmni-Base for DIGITAL'ATELIERの導入事例
以下では、SaaS型の基幹システム「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」(以下、OBD)を実際に導入した事例を紹介します。
複雑だったシステムを刷新しコスト削減へ
某総合通販を運営する企業は、経営危機を打開するための鍵としてOBDを導入し、ITコストの構造転換と大幅な業務効率化を達成しています。
導入前のシステムは、30年にわたり現場の意見を細部まで吸い上げて開発されたシステムだったため、現場にとっては使いやすい反面、複雑化しておりシステムの安定稼働のためには多くの運用人員が必要でした。
そこで、OBDを導入し、ノンカスタマイズのSaaSに合わせて業務を変革する大きな方向転換を行いました。以前は「業務=システムの機能」だったものが、「必要な機能をまずOBDで探し、業務を合わせていく」という方法へと変化しています。結果として、システム数は約1/2に、運用人員は以前の約1/3程度まで削減され、大幅なコスト最適化に成功しました。
また、SaaSの特性としてインボイス制度のような法律や税制の変更にも標準機能として自動で対応を行うため、自前でシステムを維持・改修する手間や多額の費用が不要となりました。
OMO戦略を進行するためにデータを一元管理
某アパレル企業はOMO戦略を加速させるため、SaaS型の基幹システムOBDを導入されました。以前のシステムでは、長年の改修・追加開発の結果、システムの限界が顕在化していた状況でした。特に、顧客が店舗やEC、アプリなど複数のチャネルを横断して利用する際に、情報が連携されていないことで不便を感じてしまう点が大きな課題でした。
たとえば、オンラインストアで店舗の在庫を確認したにもかかわらず、店頭で見つけることができないといったことを防ぐ必要がありました。そこで、同社が目指したのはオンラインとオフラインのデータや顧客体験を統合する繋ぎ目のない購買体験の実現です。
上記の目標を達成するために、全てのチャネルのデータを一元管理可能なSaaSであるOBDの導入を決断しました。結果としてオンライン・オフラインでの情報共有がスムーズにいくようになり、店舗での接客精度も改善して購買体験の向上につながっています。
突発的なアクセス増加にも耐えられ、スピーディーな対応で業務効率化
某放送局では、通信販売事業における次期通販基幹システムとしてOBDが選定されました。テレビ通販では、特番放映時などに突発的かつ一時的にアクセスが集中する特有の課題があります。従来のシステムではピーク時に耐えるためのキャパシティを事前に確保する必要があり、コストが高くなりがちだった点が課題でした。
そこで、SaaS型の基幹システムOBDを導入し、通信販売事業においてシステム改修に伴う多額の追加コストや長時間の対応が不要となり、運用効率が大幅に向上。さらに、テレビ通販特有の特番放映時に発生する突発的なアクセス集中にも、安定して対応できる環境を実現しました。また、ECサイトの柔軟なコンテンツ制作を通じて売上向上を目指す戦略も両立できています。
SaaSで現場業務をスマートに
これまでSaaSがもつ多くのメリットや、導入を成功させるためのポイントについて解説してきました。SaaSを導入すれば、コストを抑えつつ面倒な運用・保守の手間からも解放されます。
「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」は、複雑化しがちなEC・オムニチャネル事業の構築から運用までをオールインワンで実現するSaaSです。EC事業における多くの業務で効率化を図れるため、現場業務の負担軽減を図りたい企業はぜひ導入をご検討してください。