ECサービスを基幹システムで一元管理!EC基幹システム導入の必要性やメリットを解説
- 2025.12.17
- 基幹システム
EC事業が順調に拡大する一方で、次のような悩みを抱える事業者も少なくありません。
- 商品が増えすぎて在庫管理が追いつかない
- 複数モールの受注処理に忙殺され、本来やりたい業務の時間が取れない
取扱商品や販売チャンネルが増えるほど、業務は複雑化していき、担当者の負担も大きくなります。その結果、「現状の運用を続けていくのは難しい」と感じる方もいるでしょう。
このような課題は、EC基幹システムを導入することで、対応できることが多いです。EC基幹システムを活用すれば、在庫、受注、顧客データを一元管理することができ、業務の効率化が図れ、ミスを削減にもつながります。
本記事では、ECにおける基幹システムの基本情報、導入メリット、選び方のポイントを詳しく解説します。導入の流れを理解し、自社の課題解決に向けて第一歩を踏み出しましょう。
基幹システムとは

基幹システムとは、企業や組織の基幹業務を一元的に管理・効率化するためのITシステムの総称です。ただし、一般的な企業活動とECビジネスでの基幹システムは、必要となる機能に違いがあります。
一般的な基幹システムは、会計や人事・給与、生産管理など企業全体の資源を統合的に管理するものが主流です。一方で、ECビジネスで中心となるのは在庫管理・受注管理・顧客管理など日々の売上や顧客との関係性に直接関わる業務です。そのため、ECで使われる基幹システムは在庫・受注・顧客を一元管理する機能に特化したものがメインとなります。
EC基幹システムが必要となるケース

事業の成長は喜ばしい反面、「成長スピードに、従来の運用や管理体制が追いつかなくなる」などのジレンマに直面していないでしょうか。「以前はこの方法で十分だった」と感じていた業務フローも、事業の規模や運営形態が変化するにつれて限界を超えてくるケースがあります。
もし、次のようなケースに心当たりがあるなら、EC基幹システムの導入を本格的に検討すべきサインかもしれません。
- 事業拡大により在庫管理が煩雑化している場合
- 複数モールの運営によりデータが分散している場合
- 顧客対応の属人化による機会損失が発生している場合
自社の状況と照らし合わせながら、これらの問題が起きていないか確認しましょう。
事業拡大により在庫管理が複雑化している場合
EC基幹システムが必要となるケースの1つは、事業拡大により在庫管理が複雑化した場合です。事業が拡大し、取り扱う商品数やサイズ・色違いなどが増えてくると在庫管理の難易度は一気に跳ね上がります。
例えば、当初は数えるほどだった商品が数百、数千と増えたとしましょう。管理する倉庫が複数に分かれることや、実店舗とECの在庫を連携する必要が出てきて在庫管理は複雑になります。そして、在庫管理がうまくいかなくなると次のような問題が発生しやすくなります。
- A倉庫には在庫があるのに、システム上はゼロになっている
- ECサイト上では在庫ありで注文が入ったのに、実際は欠品していた
このような在庫のズレや管理のタイムラグは、従来のExcel管理や目視による確認といったアナログな方法では防ぎきれません。在庫の不一致は販売機会の損失だけでなく、顧客からの信頼低下にもつながります。
複数モールの運営によりデータが分散している場合
自社ECの運営に加え複数モールの取り扱いなどデータが分散している場合も、EC基幹システムが必要です。現在、多くのEC事業者が自社ECサイトだけでなく楽天市場やAmazonなど複数のECモールに出店して販路を拡大しています。
しかし、このような多店舗展開は商品情報が分散して管理しづらくなる課題を生み出してしまうのが懸念点です。
例えば、販売チャネルごとに個別で情報を管理すると受注情報・在庫情報・顧客情報が各チャネルに点在してしまいます。結果として、次のような非効率な作業が生じます。
- 各モールの管理画面に個別にログインし、受注処理を行っている
- あるモールで商品が売れたら、ほかのモールの在庫数を手動で修正している
- 自社ECと楽天市場で購入履歴があるユーザーを、同一人物として把握できていない
このような状態では、日々の運営にかかる業務負荷も高まるばかりです。ECに特化した基幹システムによって上記のデータを一元管理できれば、業務効率の改善にもつながります。
顧客対応の属人化による機会損失が発生している場合
顧客対応の属人化による機会損失が起こっている場合も、EC基幹システムが役立ちます。顧客対応が属人化する最大のリスクは、顧客満足度の低下と機会損失が発生することです。
例えば、顧客からの問い合わせ内容を全社に共有する体制が整っていない場合、顧客対応において次のような問題が発生しやすくなります。
- 以前も同じ質問をしたのに、また一から説明が必要だった(顧客側)
- 担当の〇〇さんがお休みなので、現在までの対応状況が分からない(事業者側)
このような問題が発生すれば、顧客対応の質が低下し、リピート購入の可能性も減少します。顧客対応状況を一元管理できるEC基幹システムを導入して対応履歴を共有すれば、誰が対応しても一貫性のある質の高いサポートが可能です。
EC基幹システム導入のメリット

EC基幹システムを導入すると具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。日々の業務における課題を解決し、事業をさらに成長させるための3つの大きなメリットを見ていきましょう。
業務の効率化が行え、業務時間を削減
導入による最大のメリットは、業務の大幅な効率化と業務時間の削減です。なぜなら、EC基幹システムの導入によって今まで時間を費やしてきた手作業の多くを自動化できるためです。例えば、次のようなEC事業における定型業務の多くはEC基幹システムが担ってくれます。
- 各ECモールからの受注処理
- 在庫数の確認と引き当て
- 発送完了メールの送信
そのため、日々のECに関連する事務作業時間を導入前と比べて大きく軽減できます。さらに、EC基幹システムの導入で人的ミスを防止できる点もメリットの一つです。手作業による入力ミスや確認漏れがなくなれば、ミスに対応するためのリカバリー業務を減らすことができます。
適切な在庫管理により、在庫ロスが減少
適切な在庫管理により、在庫のロスが減少する点も、EC基幹システムを導入するメリットです。EC基幹システムがリアルタイムで正確な在庫数を把握し、在庫状況の分析も可能になるためです。
例えば「この商品の在庫の動きは鈍く、過剰在庫になりそうだ」と判断すれば、早めに割引キャンペーンを実施するといった対策を行うことができます。逆に、「この商品は欠品しそうだ」と予測できれば、機会損失を防ぐための追加発注をかけられます。
EC基幹システム導入のチェックポイント

多機能で魅力的に見えるEC基幹システムですが、導入の成功は事前の準備で決まると言っても過言ではありません。自社の状況を正しく把握せず導入を進めてしまうと、「高額な費用をかけたのに、業務に合わなかった」などの事態が発生してしまいます。
上記のようにならないためにも、EC基幹システムを導入する際は次の3つのチェックポイントを必ず押さえておきましょう。
業務の棚卸しを行う
まず行うべきは、現在の業務内容の棚卸しです。例えば、自社ECサイトにおける受注処理だけでも次のように多くの工程があるはずです。
- 注文確認メールの送信
- 在庫の引き当て
- ピッキングリストの作成
- 発送完了連絡
業務内容を全て洗い出せば、「この確認作業に時間がかかりすぎている」などの非効率な部分や課題が具体的に見えてきます。具体的な課題が見えれば、解決できる機能をもつEC基幹システムを選定しやすくなります。
実現したいことの優先順位をつける
業務の棚卸しによって課題が洗い出せたら、次は「どの課題を最優先で解決したいのか」を明確にして優先順位をつけます。EC基幹システムと一口に言っても、製品によって「在庫管理に特化している」「顧客管理に優位性がある」など、それぞれ特徴があるためです。
例えば、「気がつくと特定の商品の余剰在庫が積み上がってしまう」ことが経営上の最重要課題だとしましょう。このような場合、選定基準は精度の高い在庫管理や売上予測ができる機能をもつEC基幹システムとなります。
全ての課題を100%解決できる完璧なシステムは、なかなか存在しません。「これだけは絶対に解決したい」など、優先順位の高い目的に最適なEC基幹システムを見つけましょう。
コストと運用負荷を確認する
実現したいことの優先順位を明確にしたら、最後にコストと運用負荷が自社に見合っているかを確認しましょう。コストには、導入時にかかる初期費用と定期的に支払うランニングコストの2種類があります。EC基幹システムにかかるコストを全て明確にし、自社の予算内で収まるシステムを選びましょう。
なお、見落としてはいけないのが実際の金額としては表れない運用負荷で、具体的には次の点も考慮してシステムを選ぶ必要があります。
- システムを使いこなすために専任の担当者や新たな人員が何人必要か
- 現場のスタッフがシステムに慣れるまで、どれくらいの時間がかかるか
高機能なシステムであっても、現場の業務フローと適合していなかったり操作が複雑であったりすると、かえって業務効率が落ちる可能性もあります。金額的なコストだけでなく、実際に運用する現場の負荷や、困ったときに頼れるサポート体制の充実度なども含めて総合的に判断しましょう。
チェックポイントを押さえて導入し、業務効率化を図りましょう
今まで紹介したように、EC基幹システムは日々の煩雑な業務を効率化するだけではありません。EC基幹システムはデータを活用したきめ細やかな顧客対応を可能にし、顧客満足度の向上にも寄与するため事業成長の土台となります。
そして、EC基幹システムの効果を最大限に引き出すために最も重要なのは導入前の事前準備です。今まで紹介したチェックポイントを確認し、自社の課題と目的を明確にした上で業務フローに本当に合った適切なシステムを選定しましょう。
EC基幹システムの導入を検討している場合は「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」がおすすめです。自社ECサイトの運営効率化だけでなく、実店舗も含めた在庫データや顧客データの一元管理まで1つのシステムで完結可能です。
そのため、複数のECモールに出店し、実店舗も運営するなど事業規模が大きくても十分に対応ができます。EC事業をトータルで効率的に運営したい場合は、ぜひ「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」をご検討ください。