越境ECとは?メリット・デメリット、始め方、注意点などまとめて解説

  • 2024.09.13
  • EC

近年、日本製品が海外で人気が高いことから「越境EC」に取り組む企業が増えています。越境ECとはどのような取り組みなのかを具体的に知らない方も多いでしょう。
越境ECとは、海外の消費者にインターネット上で日本の商品・サービスを販売する商取引のことです。国内だけでなく、海外の需要も取り込んで大きく売上を伸ばせるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、越境ECのメリット・デメリットや始め方、注意点などをまとめて解説します

越境ECとは

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越境ECとは、自国以外の消費者に向け、インターネットを通じて商品・サービスを販売する商取引のことです。越境ECでは、自社のECサイトや海外のECプラットフォームを活用し、言語、決済方法、物流など国際的な取引に必要な要素を整備します。
たとえば、日本の化粧品メーカーが中国の消費者向けに越境ECを展開する場合を考えましょう。越境ECを始めるためには、中国語のサイトを用意して現地の決済システムに対応し、国際配送の体制を整える必要があります。
越境ECは海外進出のハードルを下げ、中小企業でも比較的容易に国際市場にアクセスできる手段として注目されています。インバウンド需要の開拓や日本製品の海外での認知度向上にも貢献する重要な販売チャネルです。

越境ECのメリット・デメリット

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越境ECは多くの可能性を秘めていますが、同時にいくつかの課題も存在します。以下ではより効果的な越境EC戦略を立てるために、越境ECを展開する際に考慮すべきメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

越境ECのメリット

越境ECには、ビジネスを国際的に拡大する上で多くのメリットがあります。主なメリットは、以下のとおりです。

  • 商圏を大幅に拡大できる
  • 実店舗よりも低コストで海外進出ができる
  • 海外の消費者動向を直接把握できる

まず、最大のメリットは商圏を大幅に拡大できる点です。国内市場が飽和状態にある場合でも、海外の新たな顧客層にアプローチすることで  、売り上げ向上の可能性が広がります。たとえば、日本の伝統工芸品が海外で注目を集めるなど、予想外の需要を発見できるケースもあります。
次に、実店舗を現地に出店するよりも低コストで海外進出が可能です。物理的な店舗を構える場合、家賃や人件費、設備投資などと多額の初期費用が必要になります。しかし、越境ECなら既存のECサイトを活用したり、比較的安価に多言語対応のサイトを構築したり、オンラインモールや越境ECサービスを活用するなどコストを抑えつつ海外市場に参入できます。
さらに、海外の消費者動向・好みを直接把握できるのも大きなメリットです。実際の購買データや問い合わせ内容を分析すれば、現地のニーズに合わせた商品開発・販売戦略の立案に生かせます。より効果的なマーケティング施策の展開が可能です。

越境ECのデメリット

一方で、越境ECには克服すべき課題もあります。主なデメリットとして以下が挙げられます。

  • 現地言語への対応が必要となる
  • 配送料が高い
  • 為替の影響を受けやすい

まず、言語対応の必要性が挙げられます。商品説明や利用規約、カスタマーサポートなど、すべてを現地の言語で提供しなければなりません。
単なる機械翻訳では不十分で、文化的なニュアンスも考慮した質の高い翻訳が必要です。相応のコストや時間がかかり、特に多言語展開する場合は負担が大きくなります。
次に、配送料の高さが課題です。国際配送は国内配送に比べて費用が高く、単価が低い場合は商品価格を上回るケースもあります。また、配送中の商品の破損や紛失のリスクも高くなるため、適切な梱包、保険の検討も欠かせません。
さらに、為替の影響を大きく受ける点も注意点です。為替レートの変動により、売上や利益が大きく左右される可能性があります。
たとえば、円高になると外貨建てでの販売価格が上昇し、競争力が低下する恐れがあります。為替リスクをヘッジする戦略や柔軟な価格設定の仕組みづくりが重要です。

越境ECの始め方

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越境ECにはさまざまな観点からメリットとデメリットがあることが分かりました。以下では、実際に越境ECを始める方法について詳しく紹介していきます。成功への第一歩を踏み出すために必要な準備・注意点を押さえていきましょう。

越境ECの準備

越境ECを成功させるためには、綿密な準備が不可欠です。以下では、準備段階で押さえるべき重要なポイントについて見ていきましょう。適切な準備を行えば、スムーズな立ち上げ・持続的な成長が期待できます。

1. オンラインモールや越境ECサービスの活用を検討する

越境ECを始める際、自社ECサイトの海外展開する方法もありますが、オンラインモールや越境ECサービスを活用するのが一般的です。オンラインモールを活用することで、現地の消費者にリーチしやすく、モールのブランド力や集客力を利用して効果的にビジネスを展開できます。
また、越境ECサービスを利用することで、物流や決済、カスタマーサポートなどの手間をアウトソースすることができ、初期コストを抑えつつスムーズに参入できます。

2. 商品を準備する

まず、どの商品を越境ECの対象とするのか、慎重に選定を行いましょう。越境ECでは日本国内での販売とは異なるユーザー層をターゲットにするため、自社の商品ラインナップの中から、海外市場で需要が見込める商品を洗い出しましょう。たとえば、日本の文化や技術を体現する商品・海外では入手困難な独自性の高い商品などが候補となります。
次に、選定した商品の海外での競争力を分析します。価格や品質、デザイン、機能性などの面で、現地の類似商品と比較してどのような優位性があるかを明確にしましょう。輸送コスト・関税を考慮した上で、適切な価格設定が可能かどうかも検討が必要です。
パッケージデザインや説明書の翻訳、現地の規格への適合など、必要に応じて商品自体にも調整を加える必要があるかもしれません。上記の準備を丁寧に行うことで  、海外市場での商品の受け入れやすさが大きく向上します。

3. 販売国を決め、その国の販売規約を確認する

続いて、販売国を決めて販売規約を確認しましょう。越境ECを展開する上で、どの国をターゲットにするかは極めて重要な決定です。販売国を選ぶ際には、市場の規模・経済成長率・ECの普及率・物流インフラの整備状況などを総合的に評価する必要があります。
販売国を決定したら、法律・規制を徹底的に調査しましょう。特に、自社の商品が現地で合法的に販売可能かどうかの確認は不可欠です。たとえば、食品・化粧品・電子機器などは国によって厳しい規制が敷かれている場合があります。法律・規制を事前に把握し、適切に対応すれば法的リスクを最小限に抑えられます。

4. 日本製品という魅力を伝える戦略を立てる

海外市場において、日本製品は高い評価と人気を誇っています。「Made in Japan」のブランドは、品質・技術力・デザイン性の高さを象徴するものとして多くの国で認知されているためです。
特に、電化製品・カメラ・自動車などの工業製品は精密さ・信頼性で世界的に高い評価を得ています。また、化粧品・食品分野でも日本の製品は安全性・効果の高さで注目を集めています。
「日本製」への信頼と憧れは、越境ECを展開する上で大きなアドバンテージとなるでしょう。
たとえば、化粧品・食品のような日用品でも日本製である点を強調すれば、高付加価値商品として販売が可能です。日本製品特有の魅力を、効果的に伝えるマーケティング戦略を立てることで  、越境ECでの成功につながる可能性が高まります。

越境ECの注意点

越境ECを成功させるためには、以下のような点に特に注意して取り組んでいく必要があります。

  1. 商品やサービスのニーズがあるか
  2. 配送がスムーズに行えるか
  3. 出店後の展開をどのように考えていくか

上記の要素を慎重に検討して適切に対応すれば、スムーズな運営・持続的な成長が期待できます。

1. 商品やサービスのニーズがあるか

越境ECを成功させる上で最も重要なのは、販売先の国で自社商品・サービスに対する十分なニーズがあるか確認することです
まず、ターゲット国の市場調査を徹底的に行いましょう。現地の消費者のし好や購買行動、生活スタイルなどを詳細に分析します。
たとえば、日本で人気の商品であっても現地の文化・気候に合わない場合もあり、注意が必要です。類似製品の普及状況や価格帯なども調査し、自社製品の競争力を見極める必要があります。
次に、オンライン上での需要動向を確認しましょう。現地の主要なECプラットフォームでの検索トレンドやSNSでの言及頻度などを分析することで、商品カテゴリーへの関心度を測れます。
また、小規模なテストマーケティングを実施するのも効果的です。限定的な商品ラインナップで実際に販売を開始し、反応を見れば本格展開前にニーズを実証的に確認できます。
上記の調査結果を総合的に分析し「自社商品がどの程度のニーズを見込めるか」「どのようなポジショニングが最適か」を見極めましょう。

2. 配送がスムーズに行えるか

越境ECにおいて、商品を確実かつスムーズに顧客の手元に届けるのは非常に重要です。しかし、海外への配送は国内配送と比べてトラブルが発生しやすく、慎重な対応が求められます。
まず、信頼できる配送パートナーを選定するのが重要です。国際配送の実績が豊富で、トラッキングシステムが充実している業者を選びましょう。また、配送にかかる時間や費用、保険の適用範囲なども比較検討する必要があります。

商品の梱包にも細心の注意を払う必要があります。国際輸送では、荷物の取り扱いが荒くなる可能性が高いため、破損を防ぐための十分な緩衝材の使用や防水対策なども考慮しましょう。
さらに、配送トラブルが発生した場合の対応策も事前に準備しておくことが重要です。たとえば「商品が届かない」「破損して届いた」などの場合の、補償規約や再送の手順などを明確にしておくべきです。

3. 出店後の展開をどのように考えていくか

越境ECの出店後、持続的な成長を実現するためには、継続的な戦略の見直しや新たな施策の実施が不可欠です。出店直後から、以下のような点を考慮しながら、ビジネスの展開を計画していく必要があります。

  • 新商品の投入・既存商品のラインナップの拡充
  • マーケティング施策の実施
  • カスタマーサービスの強化
  • 現地パートナーシップの構築

まず、新商品の投入・既存商品のラインナップの拡充を検討しましょう。初期の販売データや顧客からのフィードバックを分析し、需要の高い商品カテゴリーを特定します。分析結果に基づいて、新商品の開発や、日本国内では未販売の商品の越境EC向け展開なども考えられます。
次に、マーケティング施策の実施が重要です。SEO対策やSNS運用、インフルエンサーマーケティングなど、現地の消費者に効果的にリーチする方法を模索して実施します。季節やイベントに合わせたキャンペーンの実施も売上増加につながる有効な施策です。
カスタマーサービスの強化も忘れてはいけません。言語サポートの拡充やFAQの充実、チャットボットの導入など、顧客満足度を高めるための取り組みを継続的に行います。
最後に、現地パートナーシップの構築も検討しましょう。現地の実店舗との連携など、販売チャネルの多様化を図ればビジネスの安定性・成長性を高められます。上記の施策を計画的に実施し、常に市場の変化に対応していけば越境ECビジネスの持続的な成長が期待できます。

越境ECで商圏を拡大しよう

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越境ECは、日本企業にとって海外市場への扉を開く絶好の機会です。商圏拡大・低コストでの海外進出ができるメリットがある一方で、言語対応・配送の課題もあります。成功の鍵は、適切な商品選定・販売国の選択にあります。
日本製品に対する海外からの高い評価を活かしつつ、現地のニーズを把握してスムーズな配送体制を整えるのが重要です。出店後も継続的な商品開発・マーケティング施策の実施も行いましょう。
上記の要素を総合的に検討し、戦略的にアプローチすれば越境ECを通じた効果的な商圏拡大が実現できます。
なお、越境ECは「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」でも外部連携サービスを活用して導入が可能です
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