BOPIS(店舗受取サービス)導入のメリット・デメリット、事例などをまとめて解説
- 2024.11.25
- EC
近年は消費者の購買行動がオンライン・オフラインともに多様化しています。BOPIS(店舗受取サービス)を導入する企業も増えてきました。自社でBOPISの導入を検討しているが、どのように進めたらいいのか分からない方も多いでしょう。
BOPISは、オンラインで購入した商品を実店舗で受け取れるようにするサービスです。顧客側は送料の負担がない、企業側は物流コストを削減できるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、BOPISの具体的な事例と、導入のメリット、デメリットをまとめて解説します。まずはBOPISの中身を理解することが、自社への導入をスムーズにしてくれるはずです。
BOPISとは何か?注目されるその背景
BOPISとは「Buy Online Pick-up In Store」の略で、日本語では店舗受取サービスと呼ばれます。つまりインターネット上で商品を購入し、実店舗で受け取ることができるサービスです。
近年、eコマースの急速な成長に伴い、オンラインショッピングの利便性が高まる一方で、実店舗での体験価値も見直されています。BOPISは、両者の利点を組み合わせた革新的なサービスとして注目を集めています。
顧客にとってのメリットは、自宅での荷物待ちの時間を減らし、配送料を節約できる点です。また、商品を実際に手に取って確認してから受け取れるため、返品しやすくなるのもメリットといえるでしょう。
一方、導入企業にとってのメリットは、オンラインと実店舗の顧客接点を増やして来店機会を創出し、売上の向上を図ることができる点です。さらに、配送コストの削減や在庫管理の効率化にもつながります。BOPISは消費者と小売業者双方にメリットをもたらす新しい購買形態として、今後さらなる普及が期待されています。
なぜ今取り組みが広がっているのか
なぜ店舗受取サービスが広がっているのか、背景を見ていきましょう。BOPISの広がりには、いくつかの重要な要因があります。
まず、消費者のライフスタイルの変化が挙げられます。忙しい現代人にとって、時間の有効活用は重要な課題です。BOPISを利用すれば、配送待ちの時間を削減して自分のスケジュールに合わせて商品を受け取ることができます。
また、デジタル技術の進化も大きな役割を果たしています。スマートフォンの普及により、いつでもどこでも簡単に商品を注文できる環境が整いました。実店舗のデジタル化も進み、オンラインと実店舗の連携がスムーズになっています。
さらに、新型コロナウイルスの影響も見逃せません。新型コロナウイルスを機に、非接触型のショッピング方法への需要が高まりました。BOPISは、店舗スタッフや他の顧客との接触を最小限に抑えつつ、必要な商品を確実に入手できる方法として注目されています。
BOPIS(店舗受取サービス)を活用するメリット
店舗受取サービスの広がりの背景がわかったところで、顧客と導入企業それぞれの視点からメリットを見ていきましょう。BOPISは双方にとって魅力的な選択肢となっており、具体的なメリットを理解すれば、サービスの価値をより深く認識できます。
【顧客メリット】送料の負担がない
店舗での受け取りのため、送料の負担がない点が顧客側のメリットです。ECサイトでは「〇〇円以上の購入で送料無料」と送料が無料となる購入ラインを決めているのが一般的です。オンラインショッピングでよくある「あといくらで送料無料になるのに......」という悩みから解放され送料無料となる最低価格を気にせずに買い物ができます。
例えば、1,000円の商品を購入する際に送料無料ラインが3,000円だったとしても、不要なものを追加購入する必要がありません。
また、送料負担がないため、少額の商品や日用品なども気軽にオンラインで注文できるようになります。顧客の購買行動の幅が広がり、より自由な選択が可能になる点がメリットです。
さらに、送料負担がなく商品の実質的な価格が下がるため、顧客にとってはコストパフォーマンスの向上にもつながります。特に、頻繁に買い物をする人や価格に敏感な顧客にとっては大きなメリットです。
【顧客メリット】在庫の確保ができ、商品を探す必要がない
在庫が確保でき、商品を探す必要がないのも店舗受取サービスの特長です。ネットで購入しているため、店舗に出向いたときに在庫がないという心配もありません。店舗で購入情報を見せると商品を持ってきてもらえるため、売り場を歩いて商品を探す必要がなくなります。
特に、大型商品や人気商品を購入する際に上記のメリットは重要です。例えば、新製品のスマートフォン・限定モデルの家電製品などは店頭で品切れになるケースが多いですが、BOPISを利用すれば確実に入手できます。
また、広い売り場を歩き回って目的の商品を探す手間が省けるため、時間の節約になる点もメリットです。特に、混雑した店内や複雑なレイアウトの大型店舗では上記の利点が際立ちます。
【顧客メリット】自分のタイミングで商品を受け取れる
自分のタイミングで商品を受け取れる点もメリットです。日時指定配達をしていても、時間幅があるなど自分のタイミングで受け取りづらいケースがよくあります。店舗受取サービスにすることで、決まった期間であれば好きなタイミングで商品を受け取りに行くことができます。
特に、忙しい社会人や変則的な生活を送る人々にとって大きなメリットです。従来の配達サービスでは指定した時間に在宅している必要がありましたが、BOPISを利用すればその制約から解放されます。
例えば、仕事帰りに立ち寄って受け取ったり、週末のショッピングのついでに受け取ったりと自分のライフスタイルに合わせて柔軟に対応できます。急な予定変更があっても、受取時間を調整する必要がないため安心です。
【企業メリット】実店舗へ誘導のうえ直接コミュニケーションができる
企業のメリットとしては実店舗へ誘導できる点が挙げられます。商品を受け取るために顧客に実店舗へ足を運んでもらえるため、実物を見てもらえる点が魅力です。魅力的な商品があればついでに購入してもらえるうえ、すでに購入してもらった商品に対する追加のアドバイスなど接客次第でアップセルも狙えます。
直接的なコミュニケーションは、ECサイト上では得られない貴重な機会です。顧客の生の反応を見て、商品やサービスの改善点を見出せます。
また、店舗スタッフの専門知識を生かして商品の使い方や関連商品の提案を行えば、顧客満足度を高められる点もメリットです。長期的な顧客関係の構築にもつながります。
【企業メリット】物流コスト削減効果がある
物流コストを削減できる点も、企業側にとってのメリットです。顧客の自宅へ届けるのではなく、実店舗への配送となるため、店舗輸送コストだけで済みます。在庫がない場合でも、ほかの店舗販売商品の在庫補充と合わせて行えるため、結果として物流コストが削減できます。
物流コストの削減は、企業の収益性向上に直結する重要な要素です。個別配送に比べて店舗への一括配送は効率的で、燃料費や人件費の削減につながります。また、配送ミスや再配達の問題も大幅に減少するため、顧客満足度の向上も同時に図れる点がメリットです。
さらに、店舗在庫の効率的な管理にも貢献します。オンライン注文と店舗在庫を連動させれば、在庫回転率を向上させて過剰在庫を減らせる点もメリットです。
BOPIS(店舗受取サービス)のデメリット
顧客にも企業にも多くのメリットがあるBOPISですが、デメリットもあります。新しいサービスを導入する際には、メリットだけでなくデメリットも十分に理解して適切に対処することが重要です。BOPISを実施するうえで、生じる可能性のある課題や問題点を確認していきましょう。
店舗業務の増加
BOPISのデメリットとして、店舗業務の増加が挙げられます。今までの業務に加え、店舗での商品の受け渡しや問い合わせ対応、在庫の確認・管理などが増えて煩雑になりがちです。
具体的には、オンラインで注文された商品の管理・ピッキング・梱包・顧客への引き渡しといった新たな作業が発生します。上記の作業は、既存のスタッフの負担増加につながる可能性があります。
また、BOPISに関する顧客からの問い合わせも増加するでしょう。注文状況の確認・受取可能時間の問い合わせ・商品の仕様に関する質問など、従来とは異なる種類の対応が必要です。
店舗で管理する在庫量増加
BOPISは、店舗で管理する在庫が増加する点もデメリットです。従来であれば店舗で販売する製品のみを保管しておけばよいですが、BOPISでは店舗受取の商品も管理する必要が出てきて在庫量が増えます。いつ取りに来るかも不明なため、受取用の在庫を確保しながらさばいていく作業が必要です。
在庫量の増加は、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。まず、保管スペースの問題が懸念点です。多くの店舗、特に都市部の小規模店舗では追加の在庫を保管するスペースが限られています。バックヤードが手狭になったり、店舗の売り場面積が減少したりする可能性があります。
さらに、在庫回転率にも影響を与える可能性があります。顧客がいつ商品を受け取りに来るかわからないため、一定期間は商品を確保しておかなければなりません。通常の店舗販売よりも在庫が長期化する傾向があり、結果として在庫回転率が低下する可能性があります。
BOPIS(店舗受取サービス)の事例
BOPISの事例として、以下の3つを紹介します。
- 大手家電量販店の事例
- 大手アパレル会社の事例
- 大手飲食店の事例
大手家電量販店の事例
大手家電量販店でBOPISを導入した事例を紹介します。この会社では、ECサイトから実店舗の在庫状況を常に確認できる仕様にしている点が特徴です。
ECサイトから「店舗受け取り」で注文ができ、30分以内で受け取れるよう商品を用意してくれます。希望する店舗で在庫がなくても、他店舗から在庫を取り寄せることも可能です。店舗によっては専用の窓口を設けており、注文した商品を24時間受け取れるようにしています。
大手アパレル会社の事例
大手アパレル会社でBOPISを導入した事例を紹介します。この会社では、ECサイトで商品を注文して、各店舗で受け取れる仕組みを実現している点が特徴です。
店舗で受け取る際に試着も可能で、合わなければ返品するなど柔軟な販売体制を築いています。また、ECサイト用の在庫だけでなく現状店舗にある在庫分を注文して受け取りできる点も魅力です。
大手飲食店の事例
大手飲食店のBOPIS導入事例を紹介します。この会社では、オンラインで注文した商品を専用のスマートロッカーで受け取れるようにしている点が特徴です。
事前に決済を済ませているため、顧客と店員が直接対面せずに商品を受け取れます。飲食店では顧客に商品を順番に提供しているため、一定の待ち時間が発生してしまいます。スマートロッカーでの受け取りシステムを導入したことで、待ち時間が発生せずストレスなく商品を受け取りできる点がメリットです。
まとめ
BOPISは、顧客や企業の双方にメリットがあります。顧客は送料負担なしで便利に商品を受け取れ、企業は実店舗への誘導や物流コスト削減を実現できる点がメリットです。一方で、在庫の管理が複雑になって店員の労力が増加するなどのデメリットがある点も把握しておく必要があります。
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「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」には、実店舗・ECサイトの在庫を一元管理できる機能が備わっています。在庫管理の効率化を図れるため、スタッフの労力を減らしながらBOPISをスムーズに導入できる点が特徴です。
BOPISの成功には、テクノロジーの活用が不可欠です。BOPISをスムーズに導入・運営したい企業は「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」をぜひご検討ください。