経営危機を突破する鍵として選択されたOBD
オーダーメイドからノンカスタマイズへの変革を、現場はどう乗り越えたのか【後編】
株式会社ニッセンホールディングス
経営推進本部 IT戦略推進部 IT管理・インフラチーム マネージャー
齊藤俊樹さん
株式会社ニッセンホールディングス
経営推進本部 IT戦略推進部 システム開発・保守チーム マネージャー
加藤雄一さん
BIPROGY株式会社
インダストリーサービス第一事業部 営業二部長
増田勇二さん
BIPROGY株式会社
インダストリーサービス第一事業部 営業二部 コマース&サービス営業所長
米ノ井康隆さん
プロジェクト開始から約1年半で、ほぼすべての業務システムをOmni-Base(Omni-Base for DIGITAL‘ATELIERの前身サービス、以下OBD)に移行した株式会社ニッセンホールディングス。困難を乗り越えた先に見えたOBDの利点や、今後の展望についてお話しいただきました。
OBDを導入してよかったことは?
齊藤(ニッセンホールディングス):いろいろありますが、第一はBIPROGYさんの高い技術によって、サービスやセキュリティを自前で維持しなくてもよくなった安心感です。インボイス制度のように、自前のシステムでは定期的な法対応が必要となりますが、OBDは法律や税制が変わっても標準で対応してくれます。
またOBDは顧客の要望が積み重なると、それが標準機能として追加されます。例えば〇〇ペイなどの決済機能を自前で用意するとなると、決済方式ごとに開発とテストが必要ですが、OBDの標準機能として使えたら非常に楽になります。
増田(BIPROGY):標準機能の追加については、四半期に1回お客様に要望をうかがい、その結果を開発計画に追加しています。もちろんご要望としてうかがっていない機能であっても、必要だと判断すればどんどん追加しています。
米ノ井(BIPROGY):これまでニッセンさんからはECサイトのユーザビリティの改善や、コールセンターのバックオフィス側の画面など、売り上げに直結する標準機能の追加に対していろいろなご要望をいただいています。現在はECサイトに関するものから標準機能化の検討を進めているところです。
増田:現場で日々実感しているのは、お客様のビジネスの変化に応じて、OBDに対するご要望も変わっていくということ。例えば導入時はできていたものができなくなった、新たにやりたいことができたというご意見は珍しくありません。私達としてはお客様の変化を見据えた上で、標準機能の追加を常に検討しています。
齊藤:自社のシステムではなかなか気づかない新しいトレンドを、OBDに追加された機能で知ることができればいいですね。
増田:ありがとうございます。標準機能をバージョンアップする際は、事前に詳細をお客様に説明しているため、そこでトレンドを感じていただけたら光栄です。OBDをお使いになるお客様がもっと増えれば、その分トレンドもさらに追加しやすくなってくると思います。
今後の展望をお聞かせください
加藤(ニッセンホールディングス):ニッセンはこれまで総合通販会社として、ニッセンオンラインのサイトを軸に他社ECサイトにも出店するビジネスを展開してきましたが、今後は尖った個性のブランドを持つ、D to C※1ホールディングスを目指していきます。
導入から数年が経過し、OBDの土台部分は整ってきました。この流れを持続しながら、新たな事業につなげたいと思っています。現状のOBDは新しいブランド用の小さな店舗を出すことは難しいため、様々な工夫を行うことで小規模・中規模店舗の機能を前倒しで実装いただけるようBIPROGYさんに検討いただいているところです。ニッセンはアパレルが基本ですが、健康食品などの単品通販も扱っています。OBDの標準機能が拡大すれば、こうしたアパレル以外の商品にも新たな活路を見出すことができると考えています。
米ノ井:OBDの前身となるシステムは大規模アパレルが基本だったので、単品商品を扱う機能は入っていませんでした。しかし最近のアパレル企業は洋服だけでなく、ライフスタイルをテーマに雑貨や食器といった商品も扱うようになっています。弊社としてもニッセンさんを含めたユーザーのご要望を汲み取り、優先順位を付けた上でOBDの機能を向上させていきたいです。
増田:私達がOBDを世に送りだした理由は、単なるECサービスの提供ではなく、お客様の事業システムを支えるECプラットフォームの提供です。だからこそお客様のご要望をしっかりとうかがい、それに合わせた機能のバージョンアップを通じ、お客様の事業を永続的に支えていくことが私達の役割です。
実はOBDの導入でニッセンさんとの取引額は減少しましたが、それでも弊社がお取引を続けていただいているのは、そこに持続可能性があるからです。少子高齢化による人材不足の中では、IT部門に多くの運用スタッフを抱え、機能増殖を続けていくことは現実的ではありません。弊社としてもそれを10年、20年続けることには無理を感じていました。
要望に基づいた受託開発ではなく、自社のサービスをお客様に提案するオファリングビジネスとしてOBDをリリースしたのは、人数や時間といった工数ではなく価値でお金をいただくためです。弊社が提供する価値でお客様の事業をしっかり支えていくことが、私達が世の中に存在する意義だと思っています。
最後にまとめのコメントをお願いします
齊藤:あの時もし他社からOBDを紹介されても、導入に至らなかったかもしれません。長いお付き合いの中で生まれたBIPROGYさんの実績と信頼に安心を感じているからこそのOBDの選択でした。ニッセンはOBDというツール、BIPROGYという会社、そしてサポートしてくれる社員の方達、この3つのセットで仕事を依頼しています。どれかひとつ欠けても困る。最後は必ずなんとかしてくれる、どんなときも逃げないBIPROGYさんは、ニッセンにとって同志のような存在です。困難の中ではお互いにいろいろな失敗がありましたが、これからも一緒に歩んで行ければと思います。
加藤:ニッセンに入社してBIPROGYさんとお付き合いするようになり、BIPROGYさんがニッセンの業務を知り尽くしていることにカルチャーショックを受けました。ベンダーさんの中には顧客の業務や事情を理解しないまま、一方的な発言をしてしまう方もいます。BIPROGYさんとニッセンの関係は、一般的なベンダーとお客様の関係性ではなく、お互いを知り尽くしたビジネスパートナーだと考えています。
米ノ井:2015年頃にOBD以前のシステムを担当していましたが、業務を最適化するシステムを作るために、ニッセンさんは大変な努力を重ねていたと思います。それが2016年になったと同時に、それまでとは真逆の「システムに業務を合わせる」選択をされたことにとても驚きました。これはニッセンさんの会社全体にとって、とてつもない変化だったと思います。大変なプロジェクトをなんとか一緒にやり遂げ、苦楽を共にできたことでニッセンさんとの関係はさらに深まったと感じています。私にとっても大きな経験になり感謝しています。
増田:今日は貴重な機会をありがとうございました。改めて当時のことを鮮やかに思い出しました。ニッセンさんからの信頼を感じる場面は多いですが、信頼があれば何でも買っていただけるわけではありません。そこに価値がない、事業に見合わないものであれば採用には至らないわけです。信頼をいただいているからこそ、これからも買っていただけるようなサービスにし続けなければならないと思っています。
この対談に参加したのは4人だけですが、ニッセンさんのシステムは多くの人達の間に生まれた信頼関係で維持されてきたといえます。いまシステムを担っている現役として、これからもがんばります。
※1
D to C
Direct-to-Consumer の略。中間流通を介さずに自社のECサイトなどで、商品を消費者に販売するビジネス。仲介コストの削減、自由なマーケティング施策による自社企画・開発商品の販売という効果が見込まれる
- *DIGITAL'ATELIERは、BIPROGY株式会社の登録商標です。
- *Omni-Base(オムニベース)は、株式会社ワールドの商標です。
- *その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。