ECシステムの選び方と構築・開発の始め方完全ガイド
- 2024.01.15
- EC
商品をWEBサイト上で販売するためにはECサイトの構築が必要です。しかし「何から始めればいいのかわからない」と悩む企業も多いのではないでしょうか。自社の課題を明確にし、解決につながる機能を備えたECシステムを構築・開発するのが重要です。
この記事ではECシステムの種類と選び方と構築に向けたポイントを紹介しています。ECシステムを導入し、EC事業の運営効率を上げましょう。
ECシステムとは?その種類

ECシステムとは、インターネットを通じて商品や販売やサービスの提供を行うために、商品や在庫の管理、販促や注文の管理などの必要な機能を保持しているシステムのことを指します。
ECシステムの種類と特徴
主な3種類のEC構築方法についてメリット・デメリットを合わせ紹介します。
ASP
ASP(Application Service Provider)とは、インターネット上でサービスを提供する事業者を指します。ASPが提供するサーバーを通して、事業者がECサイトを構築する形式です。
ASPを利用すると自社でサーバーをもつ必要がないため、EC構築の初期投資を抑えられます。ASPはテンプレートを多数用意しており、サイト構築などの専門的な知識がなくてもすぐにECを開始できる点がメリットです。ただし、カスタマイズ性は低く、自社のビジネスに合わせた仕様にするのは難しいケースがあります。
パッケージ型
パッケージ型は、あらかじめECサイトに必要な機能が組み込まれたシステムを指します。パッケージ型のECシステムでは、自社のビジネスに必要な機能を選んで導入できるため、カスタマイズ性に優れている点が魅力です。
パッケージ型は、一度購入すれば、サーバー利用料などの保守運用費以外には、基本的に追加で費用が掛かることはなく、長期利用を前提とした場合には、コストパフォーマンスが良いというメリットがあります。しかし、カスタマイズも含めた初期費用が高くなりやすく、導入後に機能追加をする場合には、その都度改修費用が発生する点がデメリットです。
SaaS型EC(クラウドEC)
SaaS型EC(Software as a Service型EC)は、ECサイトの機能をクラウド上で提供するサービスです。SaaS型ECを利用すると自社でサーバーをもつ必要がないため、初期投資を抑えられるメリットがあります。すでに用意された機能を活用してECサイトを構築できるため、構築期間を短くできる点も魅力です。
SaaS型ECは定期的に最新の状態にアップグレードされるため、運用の手間を省けるメリットもあります。サービス提供側がセキュリティ対策も施すため、個人情報の管理や不正アクセスへの対策など安全性が高い点も魅力です。ただし、月額制など定期的な利用料金が発生するため、長期的に見るとコストが高くなる場合があります。
ECシステム構築のステップ

ECシステムの構築・開発を始める前に、まずはECサイトを作る目的や何を達成したいのかを明確にしましょう。目的の明確化はECサイト開発の基盤となる重要なプロセスです。具体的には、以下4つの観点からECシステムの構築ステップについて解説します。
- 自社の現状の課題を整理する
- ECサイトで解決したい課題を挙げる
- 必要な機能を整理する
- 自社で構築するか外部へ依頼するか決める
自社の現状の課題を整理する
自社の課題を整理して、効果的な改善へとつながるよう作業を進めましょう。
課題を整理する際、他社との違い・遅れている部分に目が行きがちです。しかし、自社が目指す状態と現状とのギャップに着目するのが大切です。自社の強み・弱み、機会・脅威を理解できれば効果的なECサイトの開発が可能となります。
ECサイトで解決したい課題を挙げる
自社の課題を整理し終えたら、ECサイトで解決したい問題を具体的に上げていきます。例えば、接客対応がうまくいっていない場合、ECサイトでのコミュニケーション機能を強化すれば顧客満足度の向上を図ることができます。
販売数が伸び悩んでいる場合はECサイトでの商品紹介・レビュー機能を充実させることで、商品の魅力を伝えて販売促進を図れるでしょう。ECサイトの課題も他社との比較ではなく、自社が目指すべき姿と現状とのギャップに着目するのが大切です。
ECサイトを通じて「何を達成したいのか」「どのような価値を提供したいのか」を明確にすれば、開発の方向性が見えてスムーズに作業を行えます。
必要な機能を整理する
ECサイトで実際に備えたい機能を整理します。他社のサイトを参考にしながら、お気に入り機能やサイト内検索機能など、自社のECサイトに必要な機能をリストアップしましょう。
ただし、他社のサイトを参考にする際は自社の目標に対してどのように貢献するのかを考えた上で、必要・不必要な機能を明確に区別するのが重要です。必要な機能を整理できれば、ECサイトの構成をより具体化できるため開発がスムーズに進みます。
自社で構築するか外部へ依頼するか決める
ECシステムを「自社で構築するか」「外部へ依頼するか」は、企業の目指す目標・リソース・時間・技術力などによります。各選択肢にはメリット・デメリットがあるため、自社の目的に沿った最適な選択を行うのが重要です。
自社で構築する場合
自社でECシステムを構築する最大のメリットは、すべての作業を自社内で行うことで、コミュニケーションも円滑になり、意思決定のスピードなどが早くなることです。また、デザイン・機能面などにおいても、自社の希望や経営戦略を反映して開発することができます。
デメリットとしては、専門的な知識や技術が必要となる点です。ECシステムの構築にはコーディングなどの知識が必要となるため、WEBデザイナーやシステムエンジニアを自社で採用する必要があります。ECシステム構築には要件定義から開発、保守・運用まで多くの作業が発生するため、管理業務が増加することにも注意が必要です。
外部へ依頼する場合
外部へECシステムの開発を依頼する場合、専門的な技術力を持つ会社が作業を担当してくれるため、安定したシステム構築が期待できます。また、自社のメンバーをシステム構築以外の業務に集中させられる点も大きなメリットです。構築作業をアウトソーシングできるため、作業負荷を軽減して売上の拡大などの重要な業務に取りかかりやすくなります。
デメリットとして挙げられるのは、構築費用が割高になる点です。予算が限られている場合には、希望通りのECシステムにならないなどのリスクがあります。また、開発会社とのコミュニケーションを円滑にすることも重要になります。
ECシステム導入時の注意点

システム導入する際の注意点として、以下の4つが挙げられます。
- 管理画面の操作性の確認
- 自社に近い事例を確認する
- 将来の拡張性・アップデート対応
- 運用コストの把握と見積もり
ECシステムを導入する際は、上記ポイントを注視しておきましょう。
管理画面の操作性の確認
システムを導入する際には、管理画面の操作性を確認するのが重要です。管理画面はシステム設定・データ管理を行う場所であり、頻繁に使用するため使いやすさは業務効率に直結します。
操作性が悪いと必要な情報を探すのに時間がかかったり、誤った操作をしてしまったりする恐れがあります。ECシステムを選ぶ際はデモ画面などをチェックし、扱いやすい操作性をもつシステムかどうか見極めるのも重要です。
自社に近い事例を確認する
自社の業務・導入目的に近い事例を確認するのも重要です。同じ業界・規模の企業がECシステムを導入したプロセス・成果・問題点などを把握すれば、導入後のイメージが鮮明になり、自社に適したシステムを選ぶ参考になります。
将来の拡張性・アップデート対応
数年後を見据えたシステムを選ぶのも大切です。市場環境は常に変化しているため、現時点のニーズだけでなく将来の成長・変化に対応できるシステムを選びましょう。
具体的にはシステムの拡張性や後から必要な機能を随時追加できる・追加されるシステムを選ぶのが重要です。システムのサポート体制・アップデートの頻度なども、長期的な運用を見据えて確認すべきポイントです。
運用コストの把握と見積もり
ECシステムを構築する際は、運用コストを事前に確認しておきましょう。ECシステムの運用には、バージョンアップ・機能追加などで随時費用が発生するケースがあります。
運用コストを事前に把握しておけば、長期的な視点でECシステムの運用維持が可能かを予測しやすいのがメリットです。予期せぬコストが発生すると、経営資源を圧迫してビジネスの収益性に悪影響を与える可能性があります。
「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」は定期的なバージョンアップを無償で行っており、運用コストを低く抑えて導入できる点が強みです。システム導入にかかる具体的に費用が知りたい場合は、ぜひ一度お問い合わせください。
ECシステム導入にあたって出てくる課題

ECシステム導入にあたって出てくる課題として、主に以下の2点が挙げられます。
各サイトの管理
ECシステム導入の課題として、各サイトの管理が挙げられます。ECシステムを導入すると商品情報・顧客情報など多くのデータを一元的に管理可能です。しかし、複数のECサイトを管理している場合、各サイトの管理を別々に行わなければなりません。
たとえば、商品情報の更新・キャンペーンの設定・サイトのデザインなど、サイトごとに異なる設定を行う必要があります。サイトごとに管理作業を別々で行うと、作業量が膨大になり大変です。上記の課題を解決するためには、複数のECサイトを一括で管理できるシステムの導入が必要です。
在庫の管理
在庫の管理も大きな課題です。ECシステムを導入すると、リアルタイムでの在庫管理が可能になります。実店舗・ECサイトで別々に在庫を保管している場合は、在庫管理作業も分けて集計しなければなりません。
在庫管理が複数箇所で行われれば、データをうまく共有できずに在庫数が正確に反映されないリスクが高まります。別々で管理するため作業負荷も大きくなるのがデメリットです。
複数の販売チャネルをもつ場合は、在庫管理も一元管理できるシステムの導入がおすすめです。
先を見据えた最適なECシステムの選定と構築で効率的なEC運営を

ECシステムにはASP・パッケージ型・SaaS型ECなどの種類があり、それぞれで異なるメリット・デメリットがあります。導入時には、目標を具体的に設定して、管理画面の操作性・自社に近い事例を確認してシステムを選ぶのが重要です。また、運用コストや管理なども含め検討し、3年後の施策展望など長期的な目線での設計が必要です。
BIPROGYでは、課題整理や要求整理を含むコンサルティング支援も提供しています。自社の課題整理を効果的に行えるため、最適なECシステムの構築を実現できます。
先述で紹介した「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」も提供しており、サービスの適用〜運用までゼロから支援可能です。複数の販売チャネル・サイトの受注・仕入管理を一元化できるECシステムの導入を検討している企業様は、ぜひ一度問い合わせください。