ECサイトのCVR(コンバージョン率)を高めるために確認すべき事項と成功事例を紹介
- 2025.09.24
- EC

ECサイトの運営で「アクセスはあるのに、なぜか売上が伸びない」などの悩みを抱えていませんか?この課題には、サイト訪問者が購入に至る割合を示すCVR(コンバージョン率)が深く関わっています。
本記事ではCVRの基本から低下する原因、具体的な改善策、さらには成功事例までを網羅的に解説します。ECサイトのCVRを改善し、自社の売上拡大につなげましょう。
CVRとは?ECサイトにおける重要性
CVR(コンバージョン率)とは、サイト訪問者のうち設定した目標を達成した人の割合を示す指標です。ECサイトではCVRの良し悪しが売上に直結するため、成果を測る指標として非常に重要なデータと位置づけられています。
たとえば、商品購入をECサイトの目標として設定した場合、1,000人がサイトを訪れて10人が商品を購入したときのCVRは1%です。CVRの数値が高いほど、効率的に訪問者を顧客へ転換できていると判断できます。
ECサイトの売上は「アクセス数×CVR×注文単価」で決まります。そのため、CVRの改善は売上の向上に不可欠です。なお、業界や商材、ターゲット層によって異なりますが一般的なECサイトのCVRは1〜3%程度とされています。
CVRの計算方法と計測
CVRは、以下の計算式で算出されます。
- CVR(%)=コンバージョン数÷サイトへのアクセス数×100
コンバージョンには商品購入のほか、会員登録やお問い合わせなども含まれます。
CVRの計測には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールが広く利用されています。ツール上で「注文完了」など自社ECサイトの目標を設定すれば、CVRの自動計測・分析が可能です。
ECサイトでCVRが低下してしまう理由
ECサイトにおいてCVRが低下する場合、主に以下5つの理由が考えられます。
- サイト内の導線がわかりづらい
- 商品情報や商品画像が少ない
- レビューやFAQなどがなく、信頼度が低い
- 決済手段が限られている
- ページの表示速度が遅い
サイトへのアクセスはあるものの、売上が伸び悩んでいる際は上記の項目に問題がないかを確認しましょう。
1.サイト内の導線がわかりづらい
購入完了や会員登録といった設定した目標までの導線が複雑な場合、CVRは低下します。たとえば、ユーザーが「商品をカートに追加する」ボタンの場所をすぐに見つけられない仕様になっていると、煩わしさを感じて離脱してしまいます。
操作に迷ったり、手間がかかると感じさせたりするとユーザーは面倒に感じてECサイトでの商品購入を諦めてしまいます。目的のページにスムーズにたどり着けるか、常に利用者の方の視点でECサイトの仕様を見直しましょう。
2.商品情報や商品画像が少ない
情報不足で商品の魅力が伝わらないケースもユーザーの購入意欲を削ぐ大きな原因で、CVRも低下します。たとえば、アパレルサイトでモデルの着用イメージがなければ、実際に着たときのサイズ感がつかめません。
ユーザーは実物を手に取れないため、十分な情報がないと不安を感じて購入をためらいます。そのため、商品の色・質感がわかる高画質な写真や使用シーンを想起させる画像はECサイトで商品の購入を促すのに不可欠です。
3.レビューやFAQなどがなく、信頼度が低い
購入者レビューやよくある質問(FAQ)がないサイトは信頼を得にくく、CVRも低下しやすくなります。実店舗の場合は店員に質問できますが、ECサイトでは自己解決が基本です。送料や返品条件など購入前に生じる疑問をFAQや利用者レビューを通して解消できないと不安が残り、商品の購入にはいたりません。
4.決済手段が限られている
ユーザーが希望する決済方法がない場合、購入の最終段階で離脱されてしまい、CVRも低下してしまいます。現代ではクレジットカードだけでなく、各種スマホ決済や後払いなどが広く普及しています。
たとえば、クレジットカードを持たない若年層をターゲットにしているのに、銀行振込や代引きなど代替手段が用意されていなければ、商品の購入に至りません。そのため、ユーザー層の特性を理解し、幅広い決済手段を用意しておくことがCVRの維持・向上に不可欠です。
5.ページの表示速度が遅い
ページの表示速度が遅いことはユーザーにストレスを与え、離脱の直接的な原因となってCVRが低下します。ECサイトでは複数の商品ページを見比べたり、カート画面へ進んだりなどユーザーは多くのページにアクセスするためです。
ページ遷移のたびに表示速度が遅く、3秒以上待たされるなどの事態が頻発すれば、多くのユーザーは見るのを諦めます。軽快な操作感を提供できなければ、いくら商品の質が高くてもユーザーは購入してくれません。
CVRを改善するための具体的な施策
CVRが低下する原因を取り除くために、具体的に以下のポイントに注力して改善を進めていきましょう。
- UI/UXの改善
- 魅力が伝わる商品情報の訴求
- レビュー機能やFAQ/レコメンド機能の活用
- 決済手段の見直し
ユーザーの視点に立ち、サイトの課題を1つずつ解決していくことが着実な成果につながります。
UI/UXの改善
UI/UX(サイトの使いやすさ)の改善は、CVR向上に直結する重要な施策です。まず、アクセス解析ツールを用いて「ユーザーがどのページで離脱しているか」を特定しましょう。
その上で、ボタンの色や配置、ナビゲーションの構造などを改善し、より直感的にECサイトを操作できるように設定します。
なお、ECサイト上で「購入する」ボタンが目立たなければ、ユーザーは購入手続きへと進んでくれません。誰もが迷わずゴールにたどり着けるよう、わかりやすい言葉とデザインで商品購入までの導線を示す必要があります。
魅力が伝わる商品情報の訴求
ECサイトでは商品の魅力を伝えきることが購入の決め手となるため、商品情報として掲載するコンテンツの質を高めましょう。たとえば、ECサイトでは商品を直接手に取れない分、サイズ感がわかるように人物や小物と比較した写真を加えるのが効果的です。
また、アパレルでは着丈や身幅などの数値を具体的に記載することも、利用者の方の不安を解消します。さらに、商品を手にしたあとの体験・メリットを訴求すれば、ユーザーの購買意欲を効果的に刺激できます。
レビュー機能やFAQ/レコメンド機能の活用
レビュー機能やFAQ/レコメンド機能の活用は、ECサイトのCVRを向上させる上で非常に有効な施策です。レビュー機能は実際に商品を使った人の生の声を届けられるため、販売者側の情報を掲載するだけよりも信頼性を高められます。
また、送料や返品などの疑問点をまとめたFAQを設置すれば、購入前の不安を解消できます。ほかにも、レコメンド機能でチェックした商品の関連商品を提案し、サイト内での回遊を促す施策もCVR向上に貢献します。
決済手段の見直し
決済手段を充実させれば、商品を購入する直前の離脱(カゴ落ち)を防ぎ、CVRを向上させられます。そのため、まずサイトの主なユーザー層を分析し、よく利用されている決済方法を導入しましょう。
たとえば、若年層向けの商品を販売している場合はスマートフォン決済への対応が必須です。また、高額な商品を扱う場合は、分割払いに対応しておくとユーザーの心理的なハードルを下げて購入を促しやすくなります。
ただし、決済方法の追加は手数料も関わるため、費用対効果を考える必要もあります。実店舗を持つ場合は、店舗と同じ決済方法をECサイトにも用意し、一貫性のある顧客体験を提供する施策も必要です。
CVR改善の成功事例
以下では、実際にECサイトでCVRを改善した事例として3社を紹介します。
- PC販売のECサイト:Amazon Payの導入でCVRが向上
- 食品系ECサイト:スマホに適したサイトへの改修でCVRが向上
- 化粧品系ECサイト:UGCの活用方法を改善させてCVRが向上
上記の事例を参考に、自社ECサイトの課題にあったCVRの改善策を実施しましょう。
PC販売のECサイト:Amazon Payの導入でCVRが向上
PC販売のECサイトで決済方法の見直しにより、CVRを向上させた事例です。PCの購入頻度が低いことから会員登録をしてもクレジットカード情報が古くなるケースが多く、再入力の手間が顧客の購入意欲を削いでいました。
そこで、AmazonのID決済サービス「Amazon Pay」を導入。Amazon Payによって顧客はAmazonアカウントに登録済みの住所やクレジットカード情報を利用し、簡単に購入できるようになりました。結果として、ECサイト全体のカートページからのCVRはAmazon Payの導入前と比較して30%以上も向上しました。
食品系ECサイト:スマホに適したサイトへの改修でCVRが向上
食品系ECサイトで、スマホに適したサイトへの改修でCVRが向上した事例です。スマホからの売上比率が上昇していたのですが、PCメインのサイト構成となっており、スマホを利用したユーザーの購入体験が阻害されていました。
モバイルファーストなECサイトへのリニューアルを実施。ボタンの配置などスマホでの操作性の向上を重視し、PCとは別にスマホ専用のデザインでサイトを作成しました。リニューアル後は注文数が大きく増加し、対前年比で売上が140%、CVRが160%と大幅にアップしました。
化粧品系ECサイト:UGCの活用方法を改善させてCVRが向上
化粧品系ECサイトで、商品ページに掲載されているUGCの活用方法を改善させてCVRを向上させた事例です。もともと公式ECサイトのTOPページにUGCを掲載していましたが、公式ECサイトのTOPページに掲載するUGCの選定基準を見直し、画像が綺麗なUGCというだけでなく、その中でも製品に満足している様子がよくわかるものを選定するように変更しました。
また表示方法についても変更しており、スライダー表示から一覧表示にすることで顧客が一度に多くのUGCを視覚的に捉えられるようにしました。上記の施策により、結果としてECサイトTOPページのCVRを1.38倍に向上させられました。
CVRに影響がありそうなECサイトの今後の動向
ECサイトの技術や消費者の価値観は、常に変化し続けています。ECサイトの今後の動向をいち早く捉え、自社サイトに反映させていくことが将来のCVRを左右する重要な鍵です。ここでは、CVRに影響がありそうなECサイトの注目すべき3つのトレンドについて解説します。
1.AIの進化によりパーソナライズの精度が上がる
AI技術の発展は、ECサイトにおけるパーソナライズ化をより進化させることが予想されます。AIでユーザーの閲覧履歴や購買データをリアルタイムで分析でき、より一人ひとりに最適化された商品のレコメンドや情報提供が可能になるためです。
たとえば、ECサイトの訪問時に表示されるトップページの商品がユーザーごとに変わる仕様もAIで簡単に実装できるようになります。AIの進化によるパーソナライズの精度向上は顧客体験をさらに改善し、上手く活用すればCVRの向上につなげられます。
2.AR/VRなどによる購買体験の変化
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)は、ECサイトにおける購買体験を大きく変えています。たとえば、ARを使えば、スマートフォンをかざすだけで自宅にECサイトで販売する家具の試し置きが可能です。そのため、「想定していたサイズと違った」などの失敗を減らし、ユーザーは安心して商品を購入できるようになります。
また、音声AIアシスタントを通じた声だけでの購買行動も、より手軽な体験として広がるでしょう。将来的にはメタバース空間の店舗で買い物をするなど、新たな購買体験がCVRにも大きく影響を与えると考えられます。
3.サステナビリティ商品の消費向上
近年は、環境問題への関心の高まりからサステナブルな商品を好んで選ぶ消費者が増えています。具体的には、リサイクル素材の利用や環境負荷の少ない製法で作られた商品がサステナビリティ商品に該当します。
そのため、ECサイトでの売上拡大には自社の商品が持つ持続可能性や環境への配慮を明確に伝える点が重要です。サステナビリティに関する情報を商品ページに掲載すれば、企業の姿勢に共感したユーザーの購買を後押しし、新たな購入動機としてCVRの向上も図れます。
できるところから取り組み、CVR向上を目指しましょう
今まで見てきたようにCVRの改善に関して、サイトの導線や商品情報の見直し、決済手段の拡充など多岐にわたります。また、AIやARといったトレンドも取り入れ、変化に対応していく必要があります。
しかし、ECサイト担当者だけでCVR改善に向けて何をすべきか判断するのは難しいでしょう。そこでおすすめしたいのが、売上分析や行動分析を一元管理できるツールの活用です。
ECサイトのバックオフィス業務をサポートするツール「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」では、複数のマーケティング機能を備えています。
売上分析はもちろん、顧客属性などの会員分析や購買履歴などの行動分析も機能として備えており、ユーザーの動きと売上を紐づけて確認できます。そのため、「どのページにCVR低下の原因があるか」などの課題が発見しやすいのが、本サービスのメリットです。
ECサイトでCVRの改善を効率的に図りたいとお考えの担当者の方は、ぜひ「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER」の活用をご検討ください。